イランという国で
sarasaya.exblog.jp
  ブログトップ
タグ:イラン事情 ( 44 ) タグの人気記事
|
|
2004年 11月 29日 |
 昨日は最近のイラン人の名前についてお話ししましたが、じゃあ、「普通の」イラン人の名前ってどんななの?という質問を受けましたので、今回はイラン人の名前について。

 電話帳や大学合格者名簿を見ていて一番多いのは、預言者やイマーム、その家族の名前でしょう。

 男性では、
 モハンマド(イスラームの預言者、アラビア語ではムハンマド)
 アリー(シーア派初代イマーム)
 ホセイン(シーア派第三代目イマーム、アラビア語ではフサイン)
 レザー(シーア派12イマーム派第8代目イマーム、アラビア語ではリダー)
 メフディー(シーア派12イマーム派第12代目イマーム、マフディーとも)

 女性では、
 ファーテメ(預言者の末娘でアリーの妻、アラビア語ではファーティマ)
 ザフラー(ファーテメの異名)
 ゼイナブ(ファーテメとアリーの娘、アラビア語ではザイナブ)
 マルヤム(聖母マリア)

 これらを組み合わせた名前も多く見られます。

 モハンマド・レザー
 アリー・レザー
 モハンマド・ホセイン など

 若い世代に少なくなっている名前が、次のような預言者などの名前。

 イーサー(預言者イエス)
 ムーサー(預言者モーセ)
 エブラーヒーム(預言者アブラハム、アラビア語ではイブラーヒーム)
 エスマーイール(預言者イシュマエル、アラビア語ではイスマーイール)
 ダーウード(預言者ダビデ)など
 ハディージェ(預言者の妻、アラビア語ではハディージャ)
 サーラー(アブラハムの妻)

 ちなみに、預言者晩年の最愛の妻アーイェシェ(アラビア語ではアーイシャ)はシーア派の間では全く人気がありません。これは彼女が初代イマーム・アリーと激しく対立していたからと思われます。個人的には好きな名前なのですが。

 それから、アッラーや預言者の異名、アラビア語で良い意味の名前

 男性
 アフマド(預言者の異名の一つ)
 アミーン(預言者の異名の一つ)
 モスタファー(預言者の異名の一つ、アラビア語ではムスタファー)
 ハーディー(アッラーの異名の一つ)
 マジード(アッラーの異名の一つ)
 サイード(幸運な)
 ナスィール(援助者)など
 アクバル(偉大な)
 アスガル(小さな)

 女性
 マアスーメ(清らかな)
 エルハーム(神の)
 レイラー(夜、アラビア語ではライラー)
 アズラー(処女)

 アラブではよく見られるけどイランでは少ない名前が

 男性
 ハサン(シーア派第二代目イマームなのに)
 アブドゥッラー(アッラーの僕)
 ナスルッラー(アッラーの援助)
 アッバース(預言者の叔父の名前、初代正統カリフ)
 サアド(幸運)
 アサド(ライオン)など

 女性
 クブラー(偉大なの女性形)
 シャムス(太陽)
 ターヘレ(清い、アラビア語ではターヒラ)など


 こうしたアラビア語の名前の他に、ペルシア語の名前を持った人も多くいます。

 例えば、イランの伝説や歴史に登場する王や英雄、女性たちの名前。ただこれらの名前は、イスラーム革命後、イスラーム以前の歴史が否定されたため大学生の世代ですとほとんど見られません。

 男性
 ロスタム(イラン最大の英雄)
 ホスロー(サーサーン朝の王の名前)
 ダーリユーシュ(ダリウス大王、アケメネス朝の王)
 マヌーチェフル(イランの英雄叙事詩に登場する英雄)
 フェリードゥーン(フェレイドゥーンとも、ロスタムのライバル)
 メフルダード(パルティアの王の名前)
 ビージャン(英雄叙事詩の中の英雄)
 ジャムシード(伝説の王)など

 女性
 ホマー(イランの神話に登場する霊鳥、イランエアの愛称)
 ロフサーネ(英雄叙事詩に登場する女性)など

 その他にもペルシア語で良い意味を持った名前が沢山あります。こちらは世代を問わず沢山います。

 男性
 ベフザード(良い生まれ)
 ベフナーム(良い名前)
 ベフルーズ(良き日)
 ホマーユーン(吉兆の)等々

 女性
 ナーヒード(金星)
 パルヴィーン(すばる)
 シーリーン(甘い)
 サマン(ジャスミン)
 パリーサー(妖精)この他にもパリー(妖精)~という名前があります。
 ゴルネサー(花の娘)この他にも、ゴル(花)~という名前は沢山見られます。
 ファルナーズ(輝く)~ナーズ(愛しいといった意味)という名前が多数あります。例:ベフナーズ

 もちろんここにあげた名前は例に過ぎません。それに、このほかにも、トルコ系の人ならトルコ系の名前を、クルドならクルド系の名前を持っていることも多いです。
 それから、ゾロアスター教徒やキリスト教徒はアラビア語の名前を付けません。

 随分と長くなってしまったので、命名についてはまた別な機会にお話しすることにします。
[PR]
by sarasayajp | 2004-11-29 17:16 | イラン人 |
2004年 11月 28日 |
 ここ数日、あまりぱっとしない話しばかりで、煮詰まっているのでは?とご指摘を受けましたが、確かにちょっと煮詰まっています。
 この二三ヶ月、論文を書いているだけでぼ~っと過ごしていたのが、なぜかここに来てばたばたといくつか仕事が舞い込んできたのです。

 バイト料で生活している身なので、もちろんバイトは有難く引き受けます。しかしそれがいくつか重なり、さらには論文の締め切りも目前となるとさすがにちょっと疲れるようです。まあ、滅多にないことですからいいんですけど。ちょっと懐具合が寂しくなってもいましたし、助かります。

 ところで、今回引き受けたバイトの一つが、日本の学術雑誌に載せるという論文の、日本語への翻訳でした。
 それほど難しい内容ではないですし、枚数も多くなかったので気軽に引き受けたのですが、原稿をもらって、テクニカルタームについての注意を受けて翻訳を始めたその夜、執筆者に電話をしていました。

「済みません。この子供たちの名前、全然読めないんですけど」
「あ~そうなんですよね~。お金持ちの子供ばかりだから、変な名前が多いですよね~」

 って、分かっているなら最初に注意してくれればいいのに、というのは内心の声。

 テヘラン北部の高級住宅街の中にある私立小学校の授業についての報告書だったのですが、子供たちの名前が「変」なのです。イスラーム的な名前の子は一人もいなくて、イランの名前の子が少し。あとはどこから持ってきたのかよく分からない名前ばかり。

 パールミーダー、マーラール、ソラーレ、ヘリヤー、ドルサー、サーイナー、ターラー、パーニーズ、アーイサーン、パーンター、メロディー…

 私はこういう名前の女性に今まで会ったことはありませんし、論文執筆者(もちろんイラン人)自ら「変な名前ですよね~」などと言うのですから、きっと伝統的には存在しない名前なのでしょう。

 イランでは、革命以前、ヨーロッパ風の名前を子供に付けることが流行っていました。例えば私も、マリアさんやマーガレットさんという知り合いがいます。あるいは、イラン民族主義的王朝であったことから、英雄叙事詩に登場するような伝統的な名前もよく使われていました。ホスローさんにロスタムさん、ロフサーネさんもいました。
 ところがイスラーム革命後、欧米風の名前を付けることは禁じられ、イスラーム以前の歴史の否定から、イランの伝統的な名前も使われなくなり、イスラーム的な名前を付けることが進められました。モハンマドにアリーにレザー、ファーテメにザフラーなどなど。
 ずっと以前、日本でも、自分の子供に「悪魔」という名前を付けようとして市役所が受理しなかったという話しがありましたが、イランでもそれは同じで、ちょっと風変わりな名前や洋風な名前は全て市役所の窓口で却下されていました。

 私の知り合いで、自分の子供に「ティーナー」という名前を付けようとした人がいました。
 彼女の出身地にいる鳥のその地方での名前なのだそうです。
 ところが、市役所でそんな名前はいかんと却下しました。もっともその人も負けていなくて、何日か前にご紹介したペルシア語の大辞典を市役所に持ち込み、これが西洋風の名前ではなく、鳥の名前だということを証明して認めさせたそうですが。

 もっとも市役所の言うことも時によく分からなくて、男の子に、「アーデル・アリー」(公正なるアリー)という名前を付けようとして却下された方がいました。アーデルもアリーもよく使われる名前ですし、意味としても全く問題がないように思えるのですが「駄目です」の一点張りで、結局、戸籍の登録名を「アリー」だけにせざるをえなかったそうです。

 ともかく、数年前までイスラーム的な名前でなければ認めなかった市役所も、自由化の道を歩み始めたのでしょうか。不思議な名前を持つ小学校1年生たちの名前を見ながらしみじみとしてしまったのでした。
 それにしても、こういう名前をどこから持ってくるのでしょうか。
[PR]
by sarasayajp | 2004-11-28 13:06 | イラン人 |
2004年 10月 31日 |
 ラマダーン中に増えるもの。

 食料品の消費量、交通事故、そして物乞い。

 ラマダーン中にあちこちで目につくようになるものの一つに、物乞いがあります。

 ラマダーン中に行う善行は普段よりも高く来世において評価されるとされているため、この時期は、エフタールを親戚や友人にふるまうことに始まって、エフタールをモスクや聖者廟でふるまったり、養護施設や老人ホームでエフタールをふるまったり、集会場や学校で子供たちを招いてエフタールをふるまうなど、エフタールを使った善行がまず目につきます。

 あるいは、お金を募金箱へいつもより多く入れたり、孤児院やその他事前施設へ寄付をしたり、モスクや宗教施設へお金やものを寄付したりといったことも行われます。

 エフタールが大きくふるまわれている会場には、にわか物乞いも沢山集まってきます。また、道路脇の物乞いの数もこの時期には増えます。

 この時期には持たざる人への同情心が高まっていて、そうした人々に普段よりも快くお金を出す人が増えます。あるいは、最後の審判での得点を稼ぐためにお金を出す人もいます。

 イスラームでは「来世のため」にお金を出したりエフタールをふるまうことは決して「偽善」とは見なされません。自分の来世を畏れて善行を行うことは自分のためではありますけど、宗教的には「意図」を持った行為とされているからです。
 しかし、「ここでお金を出したら、○○さんが自分を高く評価してくれるに違いない」とか、「この地区の人に自分が善行を行ったことを見せびらかそう」と考えて善行を行うことは「偽善」であり、来世においてマイナスポイントになります。これは現世において自分の利益を得ようとする行為だからです。あらゆる行為は、来世での利益のために行われなければなりません。

 こうした考え方に基づいて、自分が善行を行っていることをあからさまにしないよう、エフタールをふるまうという行為ではなく、募金箱にお金を入れたり、物乞いに通りすがりにお金をあげるといった行いを選ぶ人も多いのです。


人気blogランキングへ
[PR]
2004年 10月 18日 |
 昨夜、友人のところから家へ帰るためにタクシーに乗っていました。

 先月のイマーム・マフディーの誕生日以来、町は電飾に飾られたままでなんだか華やかな雰囲気が漂っています。
 電球の柔らかな色の明かりがこぼれる町を、人々が楽しそうに歩いています。

 よく苦行だと誤解をされるラマダーン月の断食ですが、「めでたき月」なのです。日が沈んで断食が開けると開放的な気分が漂い、毎晩ちょっとしたお祭り気分が盛り上がる感じでしょうか。

 電飾といっても、色とりどりの電球を並べただけのそれほどセンスがいいとは思わないものなのですが、やはり明るい色が並んでいるというだけで明るい気分になります。


 しかしその一方で政府は、「電力消費を押さえましょう」「電気代を抑えるために蛍光灯を使いましょう」というキャンペーンをこの二三年続けています。
 イラン全土にほぼ電力が供給されるようになり、人々の生活が豊かになって(?)家庭に電化製品が増え、また照明に電球が多いため、電力消費量は年々増える一方です。

 戦争直後はともかく、今では大規模な停電はなく、電力の安定供給が続いていますが、それでも冷房などを使う夏期の電力不足は毎年のように言われています。
 こうしたなか政府が考え出したのが原子力発電所の建設でした。
 これを核兵器の開発のために利用するかどうかは私には分かりません。しかし、電力の不足が始まっていることだけは確かなのです。

 アメリカは言います。「産油国なのだから火力発電所を増やせばいい。原子力発電所を作る必要などない」
 しかしそれはアメリカの理屈であってイランの理屈ではありません。
 イランにとって石油は重要な輸出品であり、国内で消費するためのものではありません。そんな身食いをするようなことはできないというのがイランの理論です。これも理解できます。イランが地域の大国としての体裁を整えていられるのはこの石油収入があってこそなのですから。

 ロシアの協力により、ペルシア湾岸のブーシェフルに原子力発電所が完成したそうです。これがイランの電力供給を安定させることになれば良いのですが、火種にもなっていることが心配な今日この頃です。

 それと、何事にもおおざっぱなイラン人がきちんとこれを稼働させることができるのかどうかも心配でならないのです。
[PR]
by sarasayajp | 2004-10-18 12:31 | いろいろ |
ページトップ
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Yuzuki Skin by Sun&Moon