イランという国で
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2009年 06月 25日 |
 先日、イランのサッカー代表選手の一部が緑色のリストバンドで試合に出場したとお話しましたが、イギリスのガーディアンによると、その選手たちが政府によって「引退」させられたとのこと。(こちら)
 イランの政府系新聞、とだけでソースがはっきりしないのですが、あり得る話だとは思いました。

 一方、イラン国営放送が発行している新聞『ジャーメ・ジャム』によると、アリー・キャリーミーとマフダヴィーキヤーはワールドカップ本選に進めなかったことを理由に自ら引退を表明したことになっているようです。

 どちらが本当かは分かりません。年齢的にも代表を退くという決意をしても不思議ではないですし。

 ただ、もともと、アリー・キャリーミーをはじめとする代表選手の一部は、イラン・フットボール協会とはそりが合わなかったと聞いています。
 以前からそうでしたし、この協会だけの話ではないのですが、協会内の人事がとにかく政治と結びつきがちで、サッカーのことなど何も知らないような人物が政府から押し込まれて役職につき、いばってそっくりかえっている状態だというのは、こちらでも耳にしていました。確か、何年か前には、このあまりに政治的人事に対して、AFCだったかFIFAだったかがイランを除名するとかしないとかいう事態になったことがあったはずです。

 国内の政治しか見ていないというのはこんなものかもしれません。

 アリー・キャリーミーにもマフダヴィーキヤーにも、少しだけインタビューの通訳として話をしたことがあります。突然のインタビューにもかかわらず、きちんとこちらを見て丁寧に応対してくれる人たちでした。イランという国のために、という気持ちを持っていると感じられる選手であっただけに、なんだか残念です。

 スポーツに政治を持ち込んだという意味ではどちらもどちらという感じなので、まだ若いキャアビーなどは早期に復帰できるようにしてほしいなあと思います。

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by sarasayajp | 2009-06-25 11:45 | スポーツ |
2009年 06月 24日 |
 昨日今日と期末試験を受けたいと申し出た学生のための試験を実施してきました。
 さすがに1年から3年までは試験を延期してほしいとのことでしたが、4年生のうち、秋から語学研修で海外へ行く予定の学生や、夏休み中試験勉強を引きずるのは嫌、という学生が受験を申し出てきました。どうせなら全員一緒に受けてほしいとは思いつつも、断るわけにもいかないので、試験問題を5人分用意して大学へ。

 大学は閑散としています。校舎の目の前に寮があるのですが、こちらも人影はほとんど見えません。

 試験の見回りにきた教務課の職員と、新学期前に延期になった試験の日程について確認し、「絶対に今日試験を受けた学生のものとは違う問題を作成するように」と念を押されてしまいました。それほど広くない試験範囲から、まったく異なる、そして同じレベルの問題を作るというのは至難の技です。絶対に質問しなくてはいけない項目もありますし、どうしろというんだ、と思わず内心で文句をつけてしまいます。

 問題用紙に承認スタンプを押してもらったり、出欠リストにサインをさせたりしていると、その職員が、「10年前にもやっぱりこんなことがあって大変でした」とこぼしました。「あの時も、試験ができなくて混乱したんですよ」
「そうでしたね」
「もうイランにいたんですか?」
「ちょうど修士課程の学生でしたよ」

 あの夜、試験の準備のために机に向かっていると友人から電話がありました。
「今、寮で大変なことが起こっているって。明日の試験は中止になるから、大学や寮に近寄らないようにね」
 詳しいことを聞こうにも彼女自身も状況を把握しているわけではなく、何が起こったのか分からないまま朝になり、とりあえず彼女にはああ言われたが大学に行くだけ行ってみようと大学へ行くと、門は開いているものの学生の姿は少なく、確かに何かが起こっているのは確かなようです。寮に住む同級生の姿はなく、他の学生達から寮で暴動があったらしいこと、死傷者が多数出ていて寮は大混乱であることなどは分かったものの、それがどのくらい深刻なのか分からないまま帰宅したのでした。その後、少しずつ様子は分かってきたものの、混乱したまま試験はとりあえず中止、寮は閉鎖という措置が取られたのでした。

 あれからちょうど10年。歴史は繰り返す、なのでしょうか。
 徹底的に鎮圧され、事件そのものがなかったことにされている(ように見える)事件と同じことが繰り替えされるのか、それともあの時よりも大きな動きとなって何かが変わるのか。
 政治よりも成績の方が気になるらしい学生の監督をしながら、試験問題をどうやって作ろうかと頭が痛いのでした。

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2009年 06月 23日 |
 テヘラン大学寮の襲撃の際に連れ去られた日本語学科の学生一名は、いまだに行方が分かりません。大学側は「ありとあらゆる措置を講じている」と言いますが、どうなっているのでしょうか。とっくに解放されていて、実家に戻っているというのならいいのですが、それでも試験のことをはじめとする連絡事項を確認するために同級生に連絡をまったく取っていないというのは考えにくいので心配です。

 海外のネットメディアでは、26才の女性がバスィ-ジに射殺された映像が衝撃を与えているとか。彼女の名前が「ネダー=(呼びかけなどの)声の意味」だとされているというのが、なんだか象徴的な感じです。

 テヘランの多くの人たちは、現在の体制に不満を持ちながらも、今手の中にあるものを失うことを恐れ、あるいは今回の一連の出来事に絶望して、声をあげることも関心を持つことすらもやめてしまったようです。投票前まではあれほど目についた緑のリボンをさっさとしまいこみ、何事もなかったかのように日々を過ごし、「あなたの住むあたりは騒がしいの?うちのあたりもひどいのよ」と他人事のような噂話にしてしまっているように見えます。

 先日、調査中に写真を撮っていたら、「あなたはムーサヴィ-支持者なの?」と聞かれてびっくりしました。私が二台使っているカメラの一台に結びつけていた緑色のひもを見てそう思ったようです。

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 これは数年前からカメラが故障しないようにと一種の願掛けのために結んでいたもので、ムーサヴィ-氏支持とはまったく関係ないものなのですが、確かに色も形状もほぼ一緒なのでそう思われても不思議ではありません。
 体制派である大学はなぜか日本語学科に対する風当たりが強いですし、地方での調査中に警戒されるのも避けなくてはなりませんから、誤解されるようなものは外しておいたほうがいいのだろうかと思いつつ、なんだか釈然としません。

 今晩も改革を求める人々の声が響き渡っています。
 この声は届くべきところへ届くのか、それとも抹殺されてしまうのか。もう遅いのかもしれませんが、暴力の連鎖だけは避けてほしいと願わずにいられません。

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by sarasayajp | 2009-06-23 11:01 | いろいろ |
2009年 06月 22日 |
 この数日は、早朝に家を出て地方で調査を行い、夜帰宅というスケジュールでした。
 山道を走り、農村を訪れて調査をしていると、テヘランでの騒動が遠い世界の出来事です。大統領選挙のポスターが残っている程度で、昨年とまったく変わらない様子に拍子抜けするくらいです。

 標高2500メートルを越える山の中で、カメラをはじめとする装備を担いで道なき道を歩いたり、つづれ折の坂道を延々と登ったり、気分は調査というよりは山登りでした。特に、最近は運動不足でしたので、酸素が薄いことと相まって息切れはするし大変でした。少し鍛え直さなくてはいけないとは思ったものの、実際にはなかなか難しそうです。

 調査中、ある小さな村で、調査対象が村から離れたところにあって道が分からないだろうと、村の人たちが村の広場でサッカーをしていた(この子たちの心肺機能はすごいに違いありません)子供たちを道案内につけてくれました。
 村の周囲に広がる果樹園の中の小路をたどり、さらにその外の原っぱへと延々登ったり下ったりという道すがら、子供たちは好奇心いっぱいでこちらに話かけてきます。その中で、「アムー!(運転手兼助手を努めてくれている友人に対して。”おじちゃん”の意味)投票したの?」と尋ねてきました。「君たちは投票したの?」と聞き返すと、「僕達はまだ小さいから投票には行けないよ」と真面目に答えます。「お父さんたちは誰に投票したの?」と聞くと、「村の人はみんなアフマディーネジャードに投票したよ」とのこと。「田舎のことを考えてくれるのはアフマディネジャードだけなんだってさ。だから投票しろって○○さん(多分村の有力者のこと)がみんなに言っていたよ」とも。

 こういうところが閣下はうまいんだよな〜と、友人と顔を見合わせてしまいました。

 革命後、革命政府は「平等」の旗印のもと、農村へ舗装道路を引いたり、保健所を作り、小学校を作り、電気を引き、水道やガスも使えるようにすることに力を注ぎました。このため、農村部の生活は向上したものの、都市に住む人々からは「道路だけが立派になった」と、恩恵が都市部には十分に回ってこなかったことに文句ばかりが出るようになってしまいました。私が昨日、「一定の評価をする」と言ったのはこの農村部に対する措置です。もちろん、まだまだ改善の余地はたくさんありますし、地域による偏りも見られます。しかし、医療ネットワークが農村部まで広がったこと、道路ができたことにより生活が便利になったこと、水道の普及で衛生状態が改善されたことなど、学校ができたことで識字率が向上し、進学も可能になったことなど評価すべきことではないかなと思います。
 ただ、これらの措置のいくつかには革命前に既に始められていたり、計画が立てられていたもので、革命政権はそれを引き継いだに過ぎないというものもあります。それをあたかも、革命政府がすべてを立案・実行したかのように宣伝するのはどうかな〜と思う部分です。
 それと同じことをしているのが閣下です。閣下の就任前に既に立案され、あるいは始まっていたプロジェクトのいくつかが彼の任期中に完成しました。これはあくまでたまたま任期中にそうなったというだけに過ぎないのに、閣下はあたかも自分がすべての過程に関わり、強力にそれを推進したかのように自分の支配下にある国営放送を使って繰り返し繰り返し宣伝します。国営テレビくらいしか情報源を持たない人たちにとっては、それが真実となります。

 なんだかなあ、です。

 今晩も改革を求める人々の声がテヘランのあちこちで響いています。今夜は「マルグ・バル・ハーメネイー(ハーメネイーに死を)」という声も混じりはじめ、これまで以上に体制批判の色を強めています。今はまだバスィージや警察との衝突はないようですが、このままこの掛け声が続くとしたらそうもいかないだろうと心配です。
 こちらが疲れた様子を見せると、「大丈夫?」と心配して足を止め、周囲のバーグから今が盛りの桜桃を両手にいっぱいに摘んできて差し出してくれるやさしい村の子たちにとっても、これから社会に出ようとしている近所の若者たちにとっても、希望の持てる国であってほしいと願わずにいられません。

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by sarasayajp | 2009-06-22 10:54 | いろいろ |
2009年 06月 21日 |
 窓の外から毎晩聞こえてくる声は、増えることはあっても減る様子は見られません。
 声が鳴り響いている間は、机に向かっている気分になれず、なんとなく部屋の中をうろうろとしては掃除をしたりする毎日です。

 デモ隊と体制側との間で衝突が起こり、死者も出ているようですが、日常生活そのものはほぼ平常通り営まれているように見えます。不満を持ってはいても、現状を変える必要がないから関わりたくないと思っている人も多いからなのだろうと感じます。

 テヘラン大学の寮では、再度の襲撃を恐れ、また部屋のドアが破られたり銃痕が残る中で落ち着いて生活できるわけもなく、寮内にあるモスクで集団避難生活を送っているとのことです。大学も、いい加減に、テストの延期をすればいいものを、問題が起こっていることを認めたくないのかあいまいな措置に終始しています。また、イラン国内ではこれまで報道されているテヘラン大学、エスファハーン大学、シーラーズ大学の他にも、ガズヴィーン大学をはじめとするいくつかの大学で改革派学生とバスィージとの間で衝突が起こっているそうです。

 正直なところ、改革派学生が頑張っても、武器と「治安維持」の題目を国から与えられているバスィージには勝てないだろうと思います。軍は大統領によって利権をたっぷりと与えられ、離反する理由を持っていませんし、学生達が担ごうとしているムーサヴィー氏にしても、結局は体制の枠内にいる人ですから、その枠を越えて動くことはないでしょうし。

 もちろん、学生たちの抱える不満はよく分かります。この数年、大学生たちと関わってきて、彼ら自身から常に聞かされています。
 バスィージでなければ、あるいは体制に忠誠を誓っているように見せなくては就職口を見つけられない、あるいは事業を起こすこともむずかしい。賄賂が横行し、真面目に仕事をしようとする人ばかりがバカを見るような状況では、「何が自由・平等だ」と、革命政府のスローガンに反発を覚えるのも無理ないと思います。能力とは関係のないところで出世していく人を見ていたら、嫌になるだろうというのはよく分かります。
 調査などのために地方を回っていると、革命政権の行ってきた事業の一部については一定の評価はするのですが、やはり、30年間に積もり積もった問題も多いと思います。これはイランに限らず、政権の交代が起こらない国で起こりがちな問題なのでしょう。

 長い物に巻かれて生きることの方が楽ですし、疑問を感じながらも家族のためには職を失うわけにはいかないから、という人も多いと思います。これも決してイランに特別なことではないでしょう。
 今回の選挙について、不正があったことを口にする人は存在するのだそうです。だから、不正糾弾のために声をあげているのだと。今のところ、そうした疑惑については取り上げられることはありませんし、恐れやその他様々な思惑から、真相を知る人が積極的に声をあげることもないでしょう。
 手の中にあるものを守ろうとする人たちに、現在と未来のために声をあげた若者たちを中心とする人々の声が届くかどうか、小路に響く声を聞きながら落ち着かない気分になるのでした。

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by sarasayajp | 2009-06-21 12:22 | いろいろ |
2009年 06月 19日 |
 この数日ネットが遅くて大変です。一部のサイトはトップページは開けられてもそこから進むことができないほどです。
 それでも、我が家はまだネットが使えるだけマシなようです。知人らの話によると、ネットが事実上止められてしまっていて、仕事にならないとのことです。旅行社なのに、チケットの予約やホテルの予約のための仕事ができない、あるいは商売のために海外とのやりとりをしなければならないのにメールが使えない等々、政府は経済活動をストップさせてでも抗議活動の連絡を止めたいようです。
 テヘラン大学でも使用者が多いyahooメールを使えないようにしているようです。大学の寮や各学部内のPCからはyahooメールが使用不能になっています。テヘラン全域でも完全ではありませんが、その傾向があるようです。とりあえず、googleやhotmailは問題がないようですが。
 携帯電話は使えたり使えなかったり、SMSも使えたり使えなかったりという状況ですが、さすがは伝統的な口コミ社会、どこで何時に集会を行う、大統領派の妨害があるからどこへ向かう等、きちんと主に口コミで情報が流されています。
 緑のリストバンドをしていたり、緑のリボンを結んだ人が通りかかると、「何時にどこで」と素早く声をかけたり、自動車のアンテナやミラーに緑のリボンを結んでいると、信号待ちのときに隣の自動車から「何時にどこであるよ」と声がかかかったり、ビラが投げ込まれたりします。秘密集会ではないので、別に大統領派に知れたところで構わないということもあるのでしょうが、おもしろいなあと思ってしまってしまいます。

 昨日は大バーザールの北で追悼集会が行われたとのこと。あのあたりは、官公庁も多く、集会を行うには難しそうな場所だと思うのですが、冷静に、粛々と集会が行われたようです。

 テレビをはじめとするメディアを握っている政府は、しきりにネガティブ・キャンペーンを繰り広げています。国内テレビしか情報源を持たない人はこうやって、改革派を「悪に染まったならずもの」と認識していくのでしょう。様々な立場に立つメディアを比較できないというのは、イランの不幸の一つなのだと思わずにいられません。

 今日のハーメネイー師の金曜礼拝の説教、来週にはあるだろう護憲評議会の裁決がこの動きの節目になるかと思ったのですが、友人などによると、「それもそうだけど、やっぱり、ティールの18日(7月9日)じゃない?」だそうです。これが、これまでに何度か触れたことのある、テヘラン大学寮における体制派による改革派学生襲撃事件のあった日です。この事件の追悼集会をさせないため、テヘラン大学は事件以後、それまでの年間スケジュールを変更し、第二タームの試験を二週間前倒しにするようになったのです。
 言われてみればその通りです。いろいろな意味で改革派の人々にも、そしてある意味では体制派にも傷を残したこの事件の記念日というのは、双方にとって重要な日だったのでした。
 この日、何が起こるのか起こらないのか予想もつきませんが、あの日のような流血の惨事にはならないで欲しいと願わずにいられません。

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2009年 06月 18日 |
 閣下は「国内問題?全然大したことないもんね」ということを誇示するために、結局ロシアへ行ったものの、国内情勢が気になるのか素早く帰国をしたようです。でも、本当に大したことがないのなら、海外の報道機関に対して「改革派の集会を取材に行ったら、支局を閉鎖してやるぞ。ビザの更新もしてやらないし、プレスカードも無効にしてやるからな」という脅しをかける必要はないように思うのですがどうなのでしょうか。

 でも、本当に大したことがないのでしょうか?
 こちらに住む人たちにもまだどのくらい大したことなのかよく分からない、というところであるような感じがします。
 しかし、これまで体制に不満を持っていても、逮捕されたり社会的に不利な立場に追いやられることを「みーたるさむ(怖いよ)」と言い、積極的に反抗することをしなかった人たちが立ち上がり始めたということが「大したこと」なのではないかと感じる毎日です。

 バスィージに捕われた日本語学科の学生の一人はすぐに解放されましたが、一人は未だに連絡がとれません。同じく寮に暮らす同級生なども「(行方は)分からない」と言います。しかし、学長は「全員解放された」とのこと。しばらくしてさすがに問題を感じたのか、「問題を解決するためにありとあらゆる努力をする」とトーンダウンしたようですが。とにかく、無事でいてほしいです。寮内で5人死者が出たという情報もあるらしいのですが、大学の公式発表では、「死者はなし」です。しかし、1999年の事件では、公式発表では死者も行方不明者もないはずなのに、少なくとも行方不明者が未だにいることは知っているだけに、どこまで信用していいのか悩むところです。

 今夜も、路地には「マルグ・バル・ディクタトール(独裁者に死を)」の声が響き渡っています。先日までは「アッラーフ・アクバル」だったのですが、大統領派が自分たちも「アッラーフ・アクバル・ハーメネイー・ラフバル(アッラーは偉大なり、ハーメネイーは指導者)」と叫ぼうと呼びかけるという乗っ取り工作を図りました。そこで、改革派は「ヤー・ホセイン!(フサインよ!)」に呼びかけを変更することに。ただ、これでは何となく気分が盛り上がらなかったのか、上記の「 マルグ・バル・ディクタトール」があちこちで聞かれるようになったようです。これは、閣下が選挙後に行った演説の中で、「 ディクタトール(アメリカを指す)の時代は終わった」と宣言したことに引っ掛けているのかもしれません。どちらが「 ディクタトール」なのか、と。

 バスィージが取り締まりのために路地を巡回している中、たとえ家の窓からでも声をあげるのはイランではとても勇気がいることだと思います。もしその様子を見られたら、「あの家は反体制派だ」と襲撃を受けたり、何か罪をでっち上げられたりするかもしれないのですから。集会に参加することもそうです。既に情報大臣が「反体制派の首謀者を割り出して逮捕した」と発表しているのですから、集会に足を運ぶことを恐れたとしても不思議ではありません。

 集会については、先日も書いたとおり、初日は大変なことになっていましたが、その後は多くの人が冷静さを保っているように見えます。これも先日書いたように、便乗して騒ぎたいだけの人や暴走する人などもいて、ゴミ箱やバスなどに火をつけたり銀行のガラスを割ったり暴れていますが、多くは特にスローガンやシュプレヒコールを熱狂的に叫ぶわけでもなく、集まり、解散していきます。
 テレビでは破壊の様子を繰り返し流し、破壊行為に反対する市民の声をいくつも並べることで改革派を「悪の集団」としようとしていますが、市民の声もよく聞くと「破壊行為を行う人は改革派支持者ではない」という言い方をする人も多く、なんとなく、「便乗行為はやめろよ」「本当は改革派支持者じゃないんでしょ」と言いたいように見えるのは考え過ぎでしょうか。
 夜の掛け声ではありませんが、集会も大統領派が同じ日、同じ時間、同じ場所で官製デモを行いました。改革派は衝突を避けるため、時間を変えて、目的地を変えて集まり、行進を行いました。現在はまだ、挑発には乗らないという意志が働いているようです。
 これまで明らかになっている改革派側の死者は、私が聞いている限り暴力をふるったとか、警官に反抗したとかではないようです。BBCなどにテヘラン市民が送った映像などを見る限り、ただ携帯電話のカメラで集会の様子を撮ろうとしただけの女の子にも警官は殴りかかっているようです。

 今度の金曜礼拝ではハーメネイー師が説教を行います。また、あと一週間もすれば選挙結果に関する不服申し立てへの回答が行われます。そこまではこの状況が続くだろうと思うのですが、その後はどうなるのかまったく想像ができません。

 今日、ソウルでサッカーのワールドカップ出場をかけた韓国との試合がありました。結局、1対1の引き分けに終わってしまったのですが、何人かの選手が改革派支持のしるしである緑色の布を手首に巻いていました。試合後、総監督は「あれはアボルファズル(イマーム・フサインの異母弟で英雄とされる)へのナズル(一種の願掛け)のために行っていたものだ」と釈明していましたが、イラン国内ではそうはとらなかった人の方が圧倒的に多かったのではないでしょうか。
 こちらは残念ながらワールドカップ出場はなりませんでしたが、今後、建て直しが行われることを期待しています。

 今日は死者への追悼集会が行われるとのこと。何事もなく集会が行われることを願います。

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2009年 06月 16日 |
 先日の、「固定電話はつながっているし、ネットも使えるからまあよし」というのにはもちろん理由があります。

 1999年に、テヘラン大学寮で警察・バスィージと学生の衝突が起こり、大混乱した時に、まだ学生だった私の住んでいた家の電話が数日間切断されていたという経験があったからです。日本から電話をしてきた友人と事件について話をしている最中に切断されるという、盗聴があからさまに分かる介入で、結局それから数日間電話のない不便な生活を送る羽目になったのでした。この頃はまだ携帯電話も非常に高く、携帯電話を持つどころではなかったので固定電話を止められるとそれだけで大変だったのです。ネットもダイヤルアップしかない時代でしたし。

 昨日から、テヘラン市内もだいぶ緊迫してきたようです。
 一昨日の夜にはテヘラン大学やエスファハーン大学の寮でバスィージ(あるいは警察軍)による襲撃があり、負傷者が出ているとのこと。日本語学科の学生も数人拉致され、一人は午前中に解放されましたが、昨日昼の段階で連絡が取れない学生もいます。拉致された学生たちはみんな政治活動をしているような学生ではなく、逆に「どうしてあの子を?」と不思議に思うような学生ばかりです。つまり、無差別攻撃であることは明かです。

 昨日、月曜日の段階では、テヘラン大学は「学生と教師の間で話し合って試験を実施するかどうか決めろ。とりあえず、新学期の始まる前に試験期間を設けてやるから」といういい加減な指示を出してきました。行方不明の学生がいるというのにどうして試験ができるというのでしょうか。ふざけています。
 夕方から始まった抗議集会に集まった人数を見て体制側も深刻さを理解したのか、報道によるとテヘラン大学も試験を延期したようです。私のところにはまだ連絡がありませんが。とりあえず、寮を閉鎖して、寮に住む学生を地方へ追い返してしまえ、というところでしょう。昨日昼の段階で、既に多くの学生が自主的に荷物をまとめ、寮を退去していましたが、今日はさらにその数が増えるのでしょう。

 エンゲラーブ通りからアーザーディー広場にかけての5キロほどの通りでは、昨日午後、選挙結果に疑問を持つ人々による大規模な集会がありました。政治スローガンを掲げることもなく、本当に、市内各地から集まってきただけという形で、私が見る限りでは統制が取れたものでした。もちろん、一部では小競り合いもありましたが、集会を見守る警察も積極的には手を出すつもりはなさそうな様子でした。海外の報道などでは死者が出ているとのことですが、これも、大学の寮での様子を聞くかぎり、そういうことがあっても不思議ではないように思います。

 とりあえず、これ以外にも一昨日の夜から、一種の抗議活動が市内の各地で起こっています。

 夜10時に、市内各地で「アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)」と声をあげようというものです。
 私の住んでいるあたりでも、どこかから、「 アッラーフ・アクバル」と声が上がると、それに呼応するようにまた別なところから「 アッラーフ・アクバル」の声が上がります。そしてまた別な場所から「 アッラーフ・アクバル」の声が。それが次第に増え、声を揃えて「 アッラーフ・アクバル」のユニゾンに。バスィージが駆けつけてきたらさっと逃げる。警察も町内の要所要所に配置されていますが、こちらは集会になったり暴力的な行動にならない限りは手出しはしてこないようです。

 イラン・イスラー厶革命からちょうど30年。何かが動くのか、それとも体制側の締め付けが厳しくなるだけなのか。閣下もロシア訪問をキャンセルし、国内問題に専念する構えです。犠牲者が出ることなく決着することを願ってやみません。

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2009年 06月 14日 |
 大統領選挙の結果が発表された昨日は夕方から携帯電話がほぼつながらない状態でした。
 今日になってテヘラン市内の大部分で回復したようなのですが、テヘラン大学の寮にも近い私の住む地区ではまだほぼ全面的に使用不可という状態が続いているようです。まあ、とりあえず、固定電話の方は使えますし、ネットもスピードに難があるものの(これは多分回線が混み合っているため)つながっているので、とりあえずよしということで。

 今日も内務省を中心とした一角は厳戒体制のようです。

 今回の騒動は、大統領が腹心に命じて投票操作を行わせたのではないかという疑惑から発生しているわけですが、そのようなことは可能なのでしょうか?私も疑惑は持っていますが、投票や開票には立会人がいるはずで、それまですべて大統領派で固めることができるのかどうか、そのあたりが不思議だったので聞いてみました。

 すると「できるんじゃないの?」という答えがずいぶんと返ってきたのでした。

 投票の立会いが、内務省や内務省の下部組織に属する人でほぼ占められ、対立する両陣営から人を送るということはできないはず、とのこと。「はず」、なのでもしかするとできるのかもしれませんが、全国くまなく派遣するのは難しいと思われます。

 では、具体的にはどうやって操作したと考えられているのでしょうか?

 ・地方から上がってきた数字を中央で書き換える
 露骨ではありますが、上の人のサインがあればそれで問題無し、というお国柄ですからあり得るのかもしれません。普通なら、「うちではそんな数字ではなかったよ」という人が現れるでしょうが、上から下まで大統領派であれば問題無しです。

 ・白紙票を利用する
 前回の選挙の時もそうでしたが、シェナースナーメ(身分証明書)に投票済みの判子を押してもらうためだけに投票所へ行き、実際には白紙を投票するという人が多かった(体制に対する抗議として)はずなので、この白紙票に選挙管理委員が閣下の名前を書き入れたのではないかというのです。これなら後で票の数えなおしをしても大丈夫です。もっとも、数百万票も白紙があったとは思えないのですが、水増しには確かに有効な手段だなあという感じです。
 ついでに、キャッルービー師の票があまりに少なかったため、これを閣下の名前に読み替え(書き換え)たという疑惑もあるようです。前回の選挙で不正があったと閣下を非難していた同師への懲らしめという見方もあるようです。
 それから、投票中に内務大臣から、「投票所に置かれているボールペンが、時間が経つとインクが消えてしまうタイプのボールペンなのではないかという疑いを持つ人があるようだが、そのようなことはない。もし心配なら自分でボールペンを持っていけばいい」という発表がありました。どこかの投票所で実際にそういうボールペンが使われていたのか、それとも事実無根の言いがかりだったのかは分かりませんが、もし本当ならものすごいアイディアだと思わずにいられません。

 ・最初から数えていなかった
 これが一番大ウケでした。
 開票が異常に早かったことからこう考えたのでしょうが、もしそうだとしたらとても大胆です。しかし、開票開始から3〜4時間で8割近くの票が開票されたというのは確かに大したスピードです。そして、ムーサヴィー氏やハータミー前大統領が抗議を行った後の8時45分以後開票速報が止まってしまい、午後になって突然開票終了の宣言が行われたことも疑惑をかきたてたのでした。
 圧倒的にムーサヴィー派で、もともと政府に対する不信感や反発の強い、ムーサヴィー氏の故郷のアゼルバイジャンでの得票数が意外に低く、閣下よりも少ないところも見られるということに疑惑を持つ人もあるようです。

 まだ抗議行動は続いているようですが、どうなるのでしょうか。とりあえず、夕方から携帯電話はつながるようになり、大学も明日以降の試験が中止になるという連絡は来ていないので、平常に戻るのでしょうか。単に連絡が来ていないだけという可能性もなきにしもあらずというのが悩ましいところではありますが。

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by sarasayajp | 2009-06-14 23:17 | いろいろ |
2009年 06月 14日 |
 大統領選挙の結果が発表になりました。
 閣下が再選、ということなのですが、この結果にはちょっと疑問があります。組織票や地方で強いにしても、これだけの圧勝になるだろうか?と思わずにいられないのです。
 前回の選挙にしても、実は地方よりもテヘランでの得票がものを言った部分も大きいわけですが、今回はそのテヘランでムーサヴィー氏の方が支持者を集めていたように見え、良い勝負になるのでは?と思われていたからです。さらに、選挙管理委員会を組織する内務省は閣下の腹心が大臣を努めているのですから、疑いを持つなという方が無理というものです。
 そのように感じたのは私だけではなかったようで、結果が発表されてからテヘランはムーサヴィー支持派を中心に抗議行動が行われ、警官隊との衝突が起こっています。

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 道路の真ん中に放り出されたゴミ箱。この他にも火をつけられたゴミ箱やオートバイなども見られ、バス停の風除けガラスが割られたり、道路標識が引き抜かれるなど内務省周辺は大荒れ。

 テヘラン大学寮の周辺でも抗議行動や警官隊との衝突が起こっていて、この分では試験の延期は2日間では済まず、学生達を集合させないため、試験は秋まで延期ということになりそうな感じです。

 明日、閣下はアーザーディー広場で勝利集会を開くそうですが、普段、革命記念日など国家的な行事にのみ使われる場所を、「大統領就任記念式典」ならともかく、選挙の勝利を祝うという個人的なことに使ってしまうということに違和感を感じないではいられません。調子に乗って何か挑発的な発言をするとしたら、今回の騒動に油を注ぐ結果になるでしょう。武装警官を使って暴動を鎮圧するにしても、人々の不満は蓄積するばかりでしょう。

 国民すべてが納得する政府というのは絶対に実現不可能ではありますが、できるだけ多くの人が納得できるような形に落ち着いてほしいと願わずにいられません。

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by sarasayajp | 2009-06-14 00:33 | いろいろ |
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