イランという国で
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カテゴリ:イランの情報( 22 )
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2009年 06月 19日 |
 この数日ネットが遅くて大変です。一部のサイトはトップページは開けられてもそこから進むことができないほどです。
 それでも、我が家はまだネットが使えるだけマシなようです。知人らの話によると、ネットが事実上止められてしまっていて、仕事にならないとのことです。旅行社なのに、チケットの予約やホテルの予約のための仕事ができない、あるいは商売のために海外とのやりとりをしなければならないのにメールが使えない等々、政府は経済活動をストップさせてでも抗議活動の連絡を止めたいようです。
 テヘラン大学でも使用者が多いyahooメールを使えないようにしているようです。大学の寮や各学部内のPCからはyahooメールが使用不能になっています。テヘラン全域でも完全ではありませんが、その傾向があるようです。とりあえず、googleやhotmailは問題がないようですが。
 携帯電話は使えたり使えなかったり、SMSも使えたり使えなかったりという状況ですが、さすがは伝統的な口コミ社会、どこで何時に集会を行う、大統領派の妨害があるからどこへ向かう等、きちんと主に口コミで情報が流されています。
 緑のリストバンドをしていたり、緑のリボンを結んだ人が通りかかると、「何時にどこで」と素早く声をかけたり、自動車のアンテナやミラーに緑のリボンを結んでいると、信号待ちのときに隣の自動車から「何時にどこであるよ」と声がかかかったり、ビラが投げ込まれたりします。秘密集会ではないので、別に大統領派に知れたところで構わないということもあるのでしょうが、おもしろいなあと思ってしまってしまいます。

 昨日は大バーザールの北で追悼集会が行われたとのこと。あのあたりは、官公庁も多く、集会を行うには難しそうな場所だと思うのですが、冷静に、粛々と集会が行われたようです。

 テレビをはじめとするメディアを握っている政府は、しきりにネガティブ・キャンペーンを繰り広げています。国内テレビしか情報源を持たない人はこうやって、改革派を「悪に染まったならずもの」と認識していくのでしょう。様々な立場に立つメディアを比較できないというのは、イランの不幸の一つなのだと思わずにいられません。

 今日のハーメネイー師の金曜礼拝の説教、来週にはあるだろう護憲評議会の裁決がこの動きの節目になるかと思ったのですが、友人などによると、「それもそうだけど、やっぱり、ティールの18日(7月9日)じゃない?」だそうです。これが、これまでに何度か触れたことのある、テヘラン大学寮における体制派による改革派学生襲撃事件のあった日です。この事件の追悼集会をさせないため、テヘラン大学は事件以後、それまでの年間スケジュールを変更し、第二タームの試験を二週間前倒しにするようになったのです。
 言われてみればその通りです。いろいろな意味で改革派の人々にも、そしてある意味では体制派にも傷を残したこの事件の記念日というのは、双方にとって重要な日だったのでした。
 この日、何が起こるのか起こらないのか予想もつきませんが、あの日のような流血の惨事にはならないで欲しいと願わずにいられません。

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2009年 06月 18日 |
 閣下は「国内問題?全然大したことないもんね」ということを誇示するために、結局ロシアへ行ったものの、国内情勢が気になるのか素早く帰国をしたようです。でも、本当に大したことがないのなら、海外の報道機関に対して「改革派の集会を取材に行ったら、支局を閉鎖してやるぞ。ビザの更新もしてやらないし、プレスカードも無効にしてやるからな」という脅しをかける必要はないように思うのですがどうなのでしょうか。

 でも、本当に大したことがないのでしょうか?
 こちらに住む人たちにもまだどのくらい大したことなのかよく分からない、というところであるような感じがします。
 しかし、これまで体制に不満を持っていても、逮捕されたり社会的に不利な立場に追いやられることを「みーたるさむ(怖いよ)」と言い、積極的に反抗することをしなかった人たちが立ち上がり始めたということが「大したこと」なのではないかと感じる毎日です。

 バスィージに捕われた日本語学科の学生の一人はすぐに解放されましたが、一人は未だに連絡がとれません。同じく寮に暮らす同級生なども「(行方は)分からない」と言います。しかし、学長は「全員解放された」とのこと。しばらくしてさすがに問題を感じたのか、「問題を解決するためにありとあらゆる努力をする」とトーンダウンしたようですが。とにかく、無事でいてほしいです。寮内で5人死者が出たという情報もあるらしいのですが、大学の公式発表では、「死者はなし」です。しかし、1999年の事件では、公式発表では死者も行方不明者もないはずなのに、少なくとも行方不明者が未だにいることは知っているだけに、どこまで信用していいのか悩むところです。

 今夜も、路地には「マルグ・バル・ディクタトール(独裁者に死を)」の声が響き渡っています。先日までは「アッラーフ・アクバル」だったのですが、大統領派が自分たちも「アッラーフ・アクバル・ハーメネイー・ラフバル(アッラーは偉大なり、ハーメネイーは指導者)」と叫ぼうと呼びかけるという乗っ取り工作を図りました。そこで、改革派は「ヤー・ホセイン!(フサインよ!)」に呼びかけを変更することに。ただ、これでは何となく気分が盛り上がらなかったのか、上記の「 マルグ・バル・ディクタトール」があちこちで聞かれるようになったようです。これは、閣下が選挙後に行った演説の中で、「 ディクタトール(アメリカを指す)の時代は終わった」と宣言したことに引っ掛けているのかもしれません。どちらが「 ディクタトール」なのか、と。

 バスィージが取り締まりのために路地を巡回している中、たとえ家の窓からでも声をあげるのはイランではとても勇気がいることだと思います。もしその様子を見られたら、「あの家は反体制派だ」と襲撃を受けたり、何か罪をでっち上げられたりするかもしれないのですから。集会に参加することもそうです。既に情報大臣が「反体制派の首謀者を割り出して逮捕した」と発表しているのですから、集会に足を運ぶことを恐れたとしても不思議ではありません。

 集会については、先日も書いたとおり、初日は大変なことになっていましたが、その後は多くの人が冷静さを保っているように見えます。これも先日書いたように、便乗して騒ぎたいだけの人や暴走する人などもいて、ゴミ箱やバスなどに火をつけたり銀行のガラスを割ったり暴れていますが、多くは特にスローガンやシュプレヒコールを熱狂的に叫ぶわけでもなく、集まり、解散していきます。
 テレビでは破壊の様子を繰り返し流し、破壊行為に反対する市民の声をいくつも並べることで改革派を「悪の集団」としようとしていますが、市民の声もよく聞くと「破壊行為を行う人は改革派支持者ではない」という言い方をする人も多く、なんとなく、「便乗行為はやめろよ」「本当は改革派支持者じゃないんでしょ」と言いたいように見えるのは考え過ぎでしょうか。
 夜の掛け声ではありませんが、集会も大統領派が同じ日、同じ時間、同じ場所で官製デモを行いました。改革派は衝突を避けるため、時間を変えて、目的地を変えて集まり、行進を行いました。現在はまだ、挑発には乗らないという意志が働いているようです。
 これまで明らかになっている改革派側の死者は、私が聞いている限り暴力をふるったとか、警官に反抗したとかではないようです。BBCなどにテヘラン市民が送った映像などを見る限り、ただ携帯電話のカメラで集会の様子を撮ろうとしただけの女の子にも警官は殴りかかっているようです。

 今度の金曜礼拝ではハーメネイー師が説教を行います。また、あと一週間もすれば選挙結果に関する不服申し立てへの回答が行われます。そこまではこの状況が続くだろうと思うのですが、その後はどうなるのかまったく想像ができません。

 今日、ソウルでサッカーのワールドカップ出場をかけた韓国との試合がありました。結局、1対1の引き分けに終わってしまったのですが、何人かの選手が改革派支持のしるしである緑色の布を手首に巻いていました。試合後、総監督は「あれはアボルファズル(イマーム・フサインの異母弟で英雄とされる)へのナズル(一種の願掛け)のために行っていたものだ」と釈明していましたが、イラン国内ではそうはとらなかった人の方が圧倒的に多かったのではないでしょうか。
 こちらは残念ながらワールドカップ出場はなりませんでしたが、今後、建て直しが行われることを期待しています。

 今日は死者への追悼集会が行われるとのこと。何事もなく集会が行われることを願います。

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2009年 06月 16日 |
 先日の、「固定電話はつながっているし、ネットも使えるからまあよし」というのにはもちろん理由があります。

 1999年に、テヘラン大学寮で警察・バスィージと学生の衝突が起こり、大混乱した時に、まだ学生だった私の住んでいた家の電話が数日間切断されていたという経験があったからです。日本から電話をしてきた友人と事件について話をしている最中に切断されるという、盗聴があからさまに分かる介入で、結局それから数日間電話のない不便な生活を送る羽目になったのでした。この頃はまだ携帯電話も非常に高く、携帯電話を持つどころではなかったので固定電話を止められるとそれだけで大変だったのです。ネットもダイヤルアップしかない時代でしたし。

 昨日から、テヘラン市内もだいぶ緊迫してきたようです。
 一昨日の夜にはテヘラン大学やエスファハーン大学の寮でバスィージ(あるいは警察軍)による襲撃があり、負傷者が出ているとのこと。日本語学科の学生も数人拉致され、一人は午前中に解放されましたが、昨日昼の段階で連絡が取れない学生もいます。拉致された学生たちはみんな政治活動をしているような学生ではなく、逆に「どうしてあの子を?」と不思議に思うような学生ばかりです。つまり、無差別攻撃であることは明かです。

 昨日、月曜日の段階では、テヘラン大学は「学生と教師の間で話し合って試験を実施するかどうか決めろ。とりあえず、新学期の始まる前に試験期間を設けてやるから」といういい加減な指示を出してきました。行方不明の学生がいるというのにどうして試験ができるというのでしょうか。ふざけています。
 夕方から始まった抗議集会に集まった人数を見て体制側も深刻さを理解したのか、報道によるとテヘラン大学も試験を延期したようです。私のところにはまだ連絡がありませんが。とりあえず、寮を閉鎖して、寮に住む学生を地方へ追い返してしまえ、というところでしょう。昨日昼の段階で、既に多くの学生が自主的に荷物をまとめ、寮を退去していましたが、今日はさらにその数が増えるのでしょう。

 エンゲラーブ通りからアーザーディー広場にかけての5キロほどの通りでは、昨日午後、選挙結果に疑問を持つ人々による大規模な集会がありました。政治スローガンを掲げることもなく、本当に、市内各地から集まってきただけという形で、私が見る限りでは統制が取れたものでした。もちろん、一部では小競り合いもありましたが、集会を見守る警察も積極的には手を出すつもりはなさそうな様子でした。海外の報道などでは死者が出ているとのことですが、これも、大学の寮での様子を聞くかぎり、そういうことがあっても不思議ではないように思います。

 とりあえず、これ以外にも一昨日の夜から、一種の抗議活動が市内の各地で起こっています。

 夜10時に、市内各地で「アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)」と声をあげようというものです。
 私の住んでいるあたりでも、どこかから、「 アッラーフ・アクバル」と声が上がると、それに呼応するようにまた別なところから「 アッラーフ・アクバル」の声が上がります。そしてまた別な場所から「 アッラーフ・アクバル」の声が。それが次第に増え、声を揃えて「 アッラーフ・アクバル」のユニゾンに。バスィージが駆けつけてきたらさっと逃げる。警察も町内の要所要所に配置されていますが、こちらは集会になったり暴力的な行動にならない限りは手出しはしてこないようです。

 イラン・イスラー厶革命からちょうど30年。何かが動くのか、それとも体制側の締め付けが厳しくなるだけなのか。閣下もロシア訪問をキャンセルし、国内問題に専念する構えです。犠牲者が出ることなく決着することを願ってやみません。

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2007年 07月 06日 |
 先日、「偽造パスポートを使用すると死刑になるという話を聞きましたが本当ですか?」というご質問をいただきました。
 偽造パスポートで死刑になることはないだろうという感じがしたので、知り合いの弁護士に確認を取りました。
 その結果、偽造パスポートを使用してイランに入国した場合、懲役6ヶ月から2年あるいは罰金(金額は刑期に比例するとのこと)ということでした。もちろん、そこに他の犯罪が加わった場合は、それぞれの犯罪に応じた刑がプラスされていくので死刑になることも有り得るとのことです。

 現在、イラクなどに反体制派組織の人たちが潜伏していますが、その人たちが偽造パスポートによってイランに入国したとしても、偽造パスポート使用という罪名だけでは死刑になることはないそうです。
 イランではハンムラビ法典ではありませんが、基本的に、自分の犯した罪と同じ重さの刑を受けることになっているそうです。そのため、死刑になるのは殺人や殺人に匹敵すると考えられる罪を犯した場合のみだとか。そう考えると、確かにパスポートの偽造と使用だけでは死刑にはならないはずです。

 コメントにもありましたが、イランの裁判は全体的に非常に迅速です。たいていの場合、逮捕から刑の執行まで数ヶ月ほどで、日本からイランに来た当初はびっくりしたものでした。
 しかし、迅速であるということは間違いが起こる可能性もあるということで、実際、状況証拠だけで犯人を逮捕するため、誤認逮捕も起こりやすく、刑の執行後に真犯人が見つかったこともあると聞いたことがあります。私の知人にも、ろくな取り調べもないまま逮捕されてしまった人がいて、無実を証明するのに非常に苦労したとのことでした。
 それに再審制度がないに等しいため、一審で罪が確定してしまいます。これも間違いがあったときにことを考えると不安になるところです。

 イランの司法のあり方も疑問に感じる部分があるのですが、最近の日本のニュースを見ていると、イラン以上に疑問に感じる裁判の結果に出会います。
 「覚醒剤を使用していたために正常な運転ができなかった」ことを理由にして、三人もの死傷者を出す事故を起こした人物が減刑をされたというニュースには目を疑ってしまいました。「覚醒剤を使用していた」ということが既に日本では犯罪ではないのでしょうか?どうしてそれが減刑の理由になるのか私には不思議でなりません。
 また、飲酒運転をして事故を起こし、三人の子どもを死なせた人物がたった300万円の保釈金で保釈されるというのもなんだか釈然としないものを感じないではいられませんでした。

 日本の司法制度は「死んだ人には人権はない」ということなのかな?と思うくらい、加害者に優しい制度になっているように思わずにいられません。光市の事件など、ニュースで読むだけでも気分が悪くなってくるほどなのですが、日本では被害者に人権はないのでしょうか。

 人間のすることですから完全な制度などというのはあり得ないのでしょうが、今回のコメントをきっかけに、ちょっと考えさせられてしまったのでした。

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2007年 06月 30日 |
 これまでにも何回か触れてきたガソリンの値上げですが、先日、新たな段階に突入しました。

 一ヶ月100リットルの配給制になるのだそうですが、準備が全くできていない中で突然に始まったこの措置に、イラン各地で混乱が見られます。

 まず、配給のための必要なカードが必要とする人全員に行き渡っていないどころか、いつ行き渡るかも分からない状態であるということが一つ。

 私の友人などにも、カードを受け取るまでにとんでもなく大変な目にあった人が何人もいます。
 親の代から何年も同じ家に住み続け、住所を変えたことがない友人が「配達したが住所が違っていた」と言われ、あちこちを調べてようやく自分のカードのありかを突き止めたら、テヘランの南、シャフレ・レイの郵便局にあったとか、オフィスへ受け取りに行ったら、「そんなものはここにはない」と言われ、探しに探したら、ザグロス山脈の中にあるロレスターン州の州都、ホッラム・アーバードに行っていることが判明したとか、笑えない話も耳にします。
 こうした引っ越しをしたことを届けていなかったために手続きに時間がかかったというなら仕方がないことなのでしょうが、正しく届けてあったのに起こる役所の不手際や、「何とかなるだろう」という見込みの甘さが混乱を招くもととなっています。

 こうした状況を知りながら、カードが行き渡るまで配給措置を延長することをせず、「カードのない人にはガソリンは売りません」というのはどうなのでしょうか。
 既に、「あそこのガソリン・スタンドの責任者は、裏で知り合いにガソリンを安く流している」とか、正式に登録されているタクシーにはガソリンが多く配給されているのですが、そのタクシー運転手がガソリンの横流しをしているとか、本当か嘘か分からない情報が飛び交っています。

 自動車(バスを含む)以外の交通手段が全く存在していないに等しいイランで、ガソリンの値上げは物価の上昇を招きます。
 鉄道や地下鉄などの交通手段があるのならともかく、どんなに値上がりしても自動車を使わなくては移動もできないというイランでは、どんなに値上げをされても自動車を使わざるを得ません。物価の上昇に見合うだけの収入の増加も見込めない人たちは、どうやって生活をしたものかと心を痛めています。私にとっても他人事ではありません。

 配給制が始まる直前から、各地でガソリン・スタンドに対する襲撃のニュースがちらほらと見られたようですが、配給制が始まってからはそれが激化しているという話も聞きます。私の知る範囲では起こっていませんが。

 戦争準備のためにガソリンの消費を押さえるのだという見方もあるようですが、アメリカと戦争をする前に、このような状態では国民は誰もイランのために戦おうなどと思わないのではないかという気がします。
 ガソリンに対する補助金がイランの国庫を圧迫していたということは確かですし、それを何とかしなくてはいけないというのも分かります。しかし、これまで、ガソリンの消費が増えることが分かっていながら、自動車産業の拡大のためにローンを借りやすくしてまで国民に自動車の購入を勧めてきたのはイラン政府です。そしてその一方で「投資に見合うだけの収益がすぐには見込めない」などという理由から、鉄道や地下鉄といった輸送手段への移行をなかなか行おうとしなかったのもイラン政府です。

 国民にだけ我慢を強いる政府というのはどうなのでしょうか。「貧しい人々の味方」である大統領閣下には、ガソリンの配給・値上げをする代わりに物価を上げないためにどのような措置を取られるつもりなのかを説明してもらいたいものだと思わずにいられません。

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2007年 05月 08日 |
 この数日、ほぼ同じ質問のメールを何通かいただきました。
 本来ならそれぞれにお返事を差し上げるべきなのですが、ゴールデンウィークが終わり、夏の旅行シーズンの計画を立て始める方の中には同じような疑問などをお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思い、こちらでお返事をさせていただくことにいたしました。

 ご質問の中で最も多いのが、「イランは安全ですか?」というものです。

 「安全」というものをどのように定義するかで答えが変わってしまうので一概に言えないのですが、イラン国内の治安を言うのなら特に問題はないと思います。全く問題がないとは言いませんが、他のアジアの国々に比べて治安が劣るとは思いません。パキスタンやアフガニスタンと国境を接している東部地域では、外国人を対象にした誘拐や強盗の被害が報告されているなど注意をする必要がありますが。
 観光ツアー客が気をつけるべき相手は、観光地やバーザールなどでのスリやひったくり、外国人観光客相手の痴漢、それから、偽警官。

 一人で旅行をされる方は、長距離バスの中での睡眠薬強盗、家へ連れ込んでの強盗など、途中まで親しげにふるまっていた人が実は…というパターンに気をつけていただきたいと思います。また、親切に家に泊め、案内をしてくれたりしたイラン人が「君のために夕食などの買い物をしなければならないのだけど、お金を家に忘れてきたので少し貸して欲しい」と言って、結構な金額を借りてその後返してくれないということも聞いています。
 イラン人すべてを疑えとは言いませんが、頭の片隅にそういう例があるということは置いておいて欲しいと思います。幸い、イランの強盗は命を取るということはまず滅多にありませんし、身ぐるみ剥ぐということもめったにないようです。ただし、女性はイラン人男性の家にあまり安易にほいほいとついて行かれない方が良いと思います。何をされても構わないわ、という意味に取られてしまうことがありますので。

 よく、「イラン人に親切にしてもらい、家に泊めてもらったりした。イラン人は何て親切なんでしょう」というような話を聞きますが、「それは良かったですね」とは思いますが、個人的にはあまりおすすめはしません。イラン人の親切を受けるなというのではありませんが、「うちへいらっしゃい」という言葉が以前にもお話ししたことがある「タアッロフ」であるケースも考えられるからです。

 ホテルも従業員の態度にちょっと問題があったりするホテルなどもありますが、「治安」という意味ではそれほど問題はないと思います。清掃の人などが興味を持ちそうなものを表に出しておかなければ、鞄やスーツケースを開けてまでどうこうということはほとんどありません。もちろん、安宿はその限りではありませんので自己責任で荷物の管理を行ってください。

 イランの警察や軍隊が外国人に対して何かするのではないだろうかと思っていらっしゃるのかな?という方もいらっしゃいますが、イランの警官や軍人はそれほど悪質ではありません。仕事をしていなかったり、小遣いをちょっと稼ごうかなという人はいたりしますが。どちらかというと偽警官の方がたちが悪いように思います。これについては以前にもお話ししておりますので、そちらもご参照下さい。

 「安全」が対外国、特にアメリカを指す場合、これは私がお答えできる範囲のものではありません。一応次のようには言うことはできますが、それ以上のことはご自身で判断なさってください。
 イラン国内にいる限り、これから何かが起こる、というような緊迫感は全く感じられません。アメリカがイラクに侵攻したときの方がずっと緊張感があったように思います。

 それからお酒についての質問ですが、これは今後お答えしないことにいたします。色々と問題がありますので。
 外国人の飲酒を禁じたり罰したりする法律はありませんが、それがアマーケン(警察の一種)やバスィージ(民兵)などに通用するかどうかは保証の限りではありません。個人的には「郷にいれば郷に従え」という言葉を尊重していただけたらと思います。

 個人旅行は難しいでしょうか?という質問も多いのですが、これはお答えすることが難しいです。
 個人旅行に向いていらっしゃる方と向いていらっしゃらない方がいらっしゃったり、イラン国内での目的が何であるかなど、それぞれの方にそれぞれの条件があるからです。個人で旅行することそのものには何の問題もありません。地方ですと英語が通じにくい場合もありますが、旅行をするだけならなんとかなるものです。
 ツアーでは訪れることができないこの町へ行きたいから、とか、のんびりとした滞在をしたい、とか、イラン人と交流してみたいという目的のはっきりしていらっしゃる方でしたら個人旅行の方が良いかもしれませんし、でも、一人で行動するのは不安だというのでしたら自由時間の多く取ってあるツアーを選んでそちらを利用した方が良いかもしれません。

 テヘランでは現在、「乱れた服装の女性」に対する取り締まりが強化されており、外国人も注意・指導の対象になってしまうことがあります。外国人、特に東洋人は目立ってしまうので、不愉快な目に遭うのを避けるため、服装には少し注意をした方が良いと思います。

 そういった細かな面倒はありますが、私個人としてはイランがそれほど「特殊」な国だとは思っておりません。海外旅行をする際に注意をすべき点という意味では恐らくイラン以外の国とはそれほど変わらないと思いますし、逆に、「普通の国なので拍子抜けした」という旅行者の感想も聞くくらいです。

 イランにいらっしゃる方が楽しく過ごされることを願っておりますし、やはり止めておこうという方にはまたいつかの機会にはぜひいらっしゃってくださいと。

 まあ、そんな風に思うのです。

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2007年 02月 25日 |
 このところ予期しない出費が続いていて、春休みまで手持ちのお金が持つのかどうか心配になりつつある今日この頃です。

 予期しない出費の筆頭が「パスポートの更新」でした。どうして「予期しない」だったのかというと、「うっかりしてパスポートを洗濯してしまった」からなのです。使用不能になってしまったパスポートを持って、泣く泣く在テヘラン日本大使館へ。自業自得なのですが。

 それにしてもびっくりしたのは、今は大使館でもICパスポートが発行されているということでした。前回更新したときは、写真が印刷ではなく張り込まれた機械処理のできないパスポートだったことを考えると、一気に進歩したなあという感じです。
 進歩に伴ってお値段も進歩していて91万7千リヤール(約99ドル)という、一週間から十日は生活できそうな金額が一気に飛んでいったのでした。自業自得なのですけど。

 大使館で旅行者などへの注意が書かれたファイルをなにげにめくっていたら、イランの偽警官に関する注意が目に留まりました。

 テヘランの旅行者など外国人を狙った偽警官の被害は、おもしろいことにイランの年末に当たるこの時期に増えるようです。年末年始に必要なお金をこれで稼ごうということなのか、それともこの時期に個人旅行客が増えるからなのかはよく分かりませんが、長く住んでいると妙に季節感のあるニュースです。

 警察官のふりをして観光客などに近づき、荷物チェックをするふりをして現金などを抜き取るというのがその手口なのですが、私はお金を持っているように見えないのか、まだ偽警官に出会ったことはありません。出会わなくても良いのですが。

 私の知り合いは、何年か前に偽警官に出会っています。
 「お、外国人観光客だ」と、突然思いついたのか、私服のまま「警察だけど」と近づいてきて『運転免許書』をあたかも警察の身分証明書であるかのように見せながら接近してきたというのですが、イランに毎年のようにやって来てイランの事情に通じていて、ペルシア語も堪能な彼らは「わ~~~い、偽警官だ~」と大喜びです。偽警官の写真を撮ろうとカメラを向けたところ、慌てて逃げ出してしまったそうです。友人は「惜しいことをした」と悔やんでいましたが、この程度の偽装でも、ペルシア語が読めない人たちには有効なのでしょう。

 と書いていて思い出しましたが、私は偽警官には会ったことはありませんが、小遣い稼ぎをする本物の警官にからまれたことはありました。

 テヘラン市内で乗り合いタクシーに乗っていたところ、いきなりパトカーが近づいていてタクシーを止め、乗客であった私たちにパスポートの提示を求めてきました。テヘラン市内はパスポートを持っていなくとも問題ないということは警察などから直接聞いていたため、「どうしてそんなことを言うのか」「もし問題があるのなら大使館で聞く」「どうしてもパスポートが見たいのならアパートまで一緒に来てくれ」等々、精一杯反論をしたのですが一切聞く耳を持ちません。そういえばと「私たちにだけパスポートの提示を求めるのは変でしょう。あなたが本物の警官かどうかも分からないのに。あなたも身分証明書を見せてよ」と言い返してみたところ、そそくさと逃げて行ってしまいました。
 運転手もこんなことは初めてだと言っていましたし、その後友人などにこのことを話したところ、やはりそれは小遣いが欲しかっただけで普通のことではないとの判断でした。

 テヘランでは警官、軍人などの制服、階級章などはバーザールで簡単に手に入ります。そのため、こうした制服を利用した偽警官が簡単に登場できるのです。そして、上でもお話ししたとおり、ペルシア語の読めない人に運転免許書でも何でもそれらしいものを見せれば十分に警官に見えてしまいます。

 私が聞いている限り、偽警官が出やすいのは西暦の2~3月にかけての金曜日のようです。人出が少ない金曜日に、人の少ない、あるいはほとんどいないところを歩いている外国人を狙う傾向があるようです。

 警官が街中で「麻薬のチェックをしている」「パスポートを見せろ」など色々な口実を付けて「荷物のチェックをさせろ」と言ってきた場合、かなりの確率で偽警官です。私が出会ったケースのように警官だけは本物の場合もありますが、行動が偽物です。
 「ここでは嫌だ」「ホテルで見せる」「大使館に連絡を取りたい」「警察署へ行って見せる」など何でもいいので大きな声で言い張ってみてください。とにかく人のいるところへ移動するか、通りがかりの人に助けを求めるなどすると、英語が話せたり日本語が話せたりする人がいたり、誰かしら助けてくれる人がいます。間違えても彼らのパトカー(に見える自動車)あるいは自動車に乗り込むことはしないでください。

 まあ、人気のない場所に近づかないのが一番なのですが。

 これからイランを旅行しようという方がいらっしゃいましたら、偽警官にはご注意下さい。あるいは、お金は細かく分けて身につけ、万が一、偽警官に出会っても被害が少なくて済むよう気をつけてください。

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2007年 01月 14日 |
 もう何日か前の話になりますが、イランのニュースで「日本に防衛省誕生」というニュースが繰り返し流されていました。
 私の知り合いなどはそのニュースを見て、「日本には今まで軍隊がなかったのか?」と驚いていました。「確か、イラクに軍隊を派遣していなかったっけ?」などと突っ込まれると、説明するのに一苦労です。「日本ではあれは軍隊であって軍隊でなかったのだ」という説明に、「何のこと?」と腑に落ちないという反応をされてしまいます。

 憲法第九条とか、日米安保条約とか、朝鮮戦争の話とか、色々と複雑なんだよ、と説明はしてみますが納得できたようなできないようなあいまいな反応です。無理もありませんが。

 しかし考えてみたら、イランの軍隊も外国人である私の目から見るとなんだか不思議だったりします。
 それはイランには軍隊が二つ存在しているからです。
 一つはいわゆる正規軍(ニールーと呼ばれているもの)で、これが国軍ということになっています。もう一つが革命防衛隊(パースダーラーンと呼ばれているもの)で、内外の反体制派と戦う組織であるということになっていて、それぞれが陸海空軍の三軍を持っているとのこと。軍事費がかさみそうな組織構造です。

 どうして軍隊が二つもあるのかというと、王制の時代にアメリカのバックアップもあって中東一とも言われるほど強力だった正規軍を牽制し、反乱を阻止するために革命後(1979年)、ホメイニー師の命令によって設立されたのが革命防衛隊だからなのだそうです。要するに相互監視をさせるためということです。

 革命防衛隊はその名前の通り、革命政権を内外の敵から守るために存在します。革命直後は正規軍の反乱阻止や反革命ゲリラ組織の鎮圧という役割が大きかったのでしょうが、最近はその心配もほとんどないため、イラクのサドル師の民兵組織や「バドル軍」、アフガニスタンの「モハンマド隊」、レバノンの「ヒズボッラー」への支援といった『防衛』からははみ出ているのではないかと思われる対外支援や、下部組織である「バスィージ(民兵)」を使ってデート中のカップルをこづき回したり、大学内の改革派組織をつぶして回るという反体制分子の摘発を行っています。

 大統領閣下のバックボーンでもあるこの組織、このところ、ここ出身のいわゆる「保守強硬派」がポストを占めるようになりつつあります。そのためか正規軍より妙に存在感があるのですが、いざ実際に戦争が起こったときには正規軍と革命防衛隊のどちらが作戦などの主導権を握るのでしょうか。
 幹部候補生を教育する「軍事大学」を持ち、「正規軍」という名前を持つ正規軍が、戦闘に関する責任を持つのでしょうが、二つの軍隊が一つの国に存在しているというのは私の目から見るとなんだか不思議だったりしますし、大丈夫なのかなあという感じもしたりします。何といっても、横の連絡は絶対にあり得ず、「自分の領域」意識の強い省庁組織を目の当たりにしているため、いざ有事となったりすると責任の押し付け合いや、責任逃れが横行するのでは?という感じがしてしまうのです。

 まあ、私が人の国の軍隊のことを心配することはないのですが。
 それにしても、核を巡ってきな臭い噂が絶えない国に住んでいると、日本の自衛隊論争というのが何とも危機感の薄い議論だという感じがするなあと、防衛省登場のニュースを見ながら改めて感じてしまったのでした。

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 イラン・イラク戦争(イランでは「押しつけられた戦争」と呼ばれる)での戦死者(イランでは「殉教者」と呼ばれる)称揚の壁絵の一つ。こんなものを描かなくても良い平和な世界が理想なのは当然だが、現実はなかなか難しい。ベンチに座るおじさんたちがいつでも好きなだけ世間話に興じていられるよう願わずにいられない。

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2005年 06月 10日 |
 以前ご質問をいただいた自動車教習所の費用ですが、期間は約一ヶ月ほどで100万リヤールから120万リヤールくらいだそうです。ドルに直すと、110~130ドルくらいです。

 何人かに聞いて得た数字なので恐らくそれほど間違えてはいないと思います。

 ちなみに、どうしてそんなことを聞くのか、じゃあ日本はどうなのだ、と聞き返されたので、私の覚えている範囲で日本の教習システムを説明したところ、学科の時間が余りに多いことに仰天していました。「イランは2時間くらいだよ!!!」だそうです。

 まあ、これじゃあ交通法規を知らなくても無理ないなあと思った瞬間でした。
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2005年 06月 03日 |
 イラン人の交通マナーの悪さについてお話ししましたが、その原因の一つと思われることについてご紹介してみたいと思います。

 日本では、運転免許書を取得する際に、ほとんどの人が教習所に通い、交通法規と運転技術について勉強すると思います。免許書を取得して、実際に運転を始めれば、必ずしも教習所で習った通りに運転していないことも多いかと思いますが、一応、標識の意味や交通法規を覚え、ルールを守ることを教えられて道路に出るということになっています。

 イランではどうかというと、一応、教習所はあります。しかし、そのあり方は日本とは随分違います。

 イランの教習所は、どう見ても「実際の道路でどうふるまうべきか」を教えているように思えます。
 日本のように、学科のための教室も、初心者が運転に慣れるまで練習する教習コースもなく、道路脇などで自動車の操作について簡単に説明を受け、そのまま一般道での教習が始まります。
 さすがに、最初は交通量の少ない小路などで練習するようですが、そういった場所だからといって、また教習者相手だからといって他の自動車が遠慮して走るわけではありません。まして、大通りに出れば、無茶苦茶な運転をする他の自動車の間を縫って走らなければなりません。「それって、初年兵をいきなり最前線に送り込むようなものじゃないですか」とびっくりされた日本の方がいらっしゃいましたが、まさにその通りだと思います。日本の教習車と違って教官ブレーキはありませんから、まさに、教習生の真剣勝負です。

 こうやって運転を覚えるのですから、運転技術は優れていても、マナーがなっていない運転手ができあがってしまうわけです。

 教習所では交通法規をあまり教えていないのではないかと疑いを持つ理由の一つが、自動車を運転する人の中には、交通に関する簡単な用語を知らない人がかなりいるということです。

 例えば、少し前に、「車線を守りましょう」という標語の書かれた看板があちこちにだされていました。ところが、少ししたら、「二本の線の間を走りましょう」に変わっていました。どういうことかと思ったら、最初の書き方だと、車線の上を走る人が続出してしまい、かえって混乱を招いてしまったからだとのことです。つまり、「車線」という言葉を知らない人が沢山いたのです。

 イランの人たちに交通法規を守らせるには、長期計画で行かなくてはならないようです。

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 写真はイランの教習車。こういう黄色い看板を掲げているのが一般的。
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