イランという国で
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ファラ王妃と宝石博物館
2004年 11月 11日 |
 前の記事で書いている「ファラ王妃」ですが、若い方のほとんどは彼女が誰のことか分からないであろうことに気がつきました。
 ということで、彼女にまつわるお話しと、イランの宝石博物館のお話しです。

 1979年1月16日、国内の争乱を収めることができないまま、イランの前政権パフラヴィー朝の国王(シャー)が、「休暇」という名目で国を去りました。このモハンマド・レザー・シャーの三人目の后がファラでした。

 それまでに二人の王妃と男の子を産めないという理由で離婚してきたモハンマド・レザー・シャーのお后選びは大変でした。
 パフラヴィー朝の前の統治者であるガージャール朝と縁のない、しかし身分ある家の適齢期の娘を捜すことが難しかったからです。
 ともかくファラが選ばれて、フランスでお見合い。彼女を気に入ったモハンマド・レザー・シャーは彼女と結婚、すぐに男の子もでき、彼女の王妃としての身分は盤石なものとなりました。

 ベール禁止法に合わせて彼女もミニワンピースの姿で人々の前に登場し、「新しい女性」をアピールすることに一役買っていました。これは若い女性たちには人気でしたが、保守的な女性たちには大変不評でした。

 彼女は国王の親族と折り合いが悪く、テヘラン市内の王宮にはあまり滞在せず、その頃のテヘランの北部の村にあった夏の離宮(サアダーバード宮殿)や、東北部の離宮(ニヤバラーン宮殿)に滞在することが多かったそうです。

 その頃のイランは原油高の恩恵でオイルマネーに潤い、またシャーに取り入ろうとする地方の有力者たちが土地や工場を次々とシャーに差し出していたため、シャーの個人財産は計算しきれないほど莫大なものでした。

 この使い切れないほどのお金をシャーとその后は自分たちの贅沢のために使いました。
 彼らの宝石コレクションの一部は現在、イラン国立銀行の地下金庫に保存され、「宝石博物館」として展示されています。

 この博物館へ行くと、宝石に対する概念が変わるほどのコレクションが並んでいます。「これじゃあ革命も起こるよ」というのがたいていの人の感想です。

 宝石をちりばめた三つの王冠(最も有名なパフラヴィー・クラウンには3千個のダイヤモンドが使われているそう)。2万6千個の宝石を象眼した「孔雀の玉座」(これはパフラヴィー朝の王が作ったものではなくインドから前政権が持ってきたもの)。3.6キログラムの純金と5万1366個の宝石を使った「宝石の地球儀」(イランの部分はダイヤモンドで光っている)。宝石で飾った傘や杖。ダイヤや真珠、エメラルドを使ったブローチやネックレスの数々。そして加工されていないままのエメラルド、ルビー、アメジストなどがざらざらとトレーに入れられたまま無造作に置かれていて、それが宝石に見えなくなってくるほどの量です。

 そして何よりも、これも孔雀の玉座と同じく、パフラヴィー朝の前の王朝の時代にインドの皇帝から戦利品として受け取った、世界最大182カラットのピンク・ダイヤがこの博物館の目玉です。このダイヤは「光の海」という名前で知られており、「光の山」というダイヤとセットでしたが、「光の山」の方は確かインドからイギリスに渡っているはずです。

 ファラ王妃も国王と一緒に革命末期にイランを出て、その後、海外に移してあった財産で悠々自適の余生を送っています。

 これは余談ですが、モハンマド・レザー・シャーは、離婚はしましたものの実はファラ王妃の前の妻ソライヤー(アラビア語ではスライヤー、日本では確かソラヤとなっていたはず)が生涯忘れられなかったというお話しです。彼女はエジプトの出身で、イランの女性とは少しタイプの違う美女でした。

 ファラが産んだ息子がアメリカで、「イスラーム体制打倒」のために活動しているそうですが、イランに住むイラン人は相手にしていません。もし、現体制を変えるとしたらそれは決して「国王制」ではないと考える人が多いからです。革命前の自由な雰囲気には戻りたいけど、秘密警察にびくびくしたり、国王のみに富が集まる制度には戻りたくないということのようです。


 この博物館の写真を載せられれば良いのですが、いかんせん写真厳禁で、さらにいい資料写真もないので様子をお伝えできないのが残念です。ということで、興味のある方はぜひ、イランにいらしてその目で確かめてください。

 HOOPさんがエメラルドについてとイランの宝石博物館の所蔵品の一部が載っているページを教えてくださいました。興味のある方はこちらをご覧下さい。(ずーっと下の方へスクロールをするとイランの所蔵品の紹介があります)
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by sarasayajp | 2004-11-11 21:54 | いろいろ |
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