イランという国で
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チャーバハール
2008年 03月 08日 |
 イランでは14日に行われる総選挙の告示も終わり、選挙戦が始まった、はずなのですが、日本のような選挙活動は行われないので静かなものです。町中にべたべたとポスターが貼られ、選挙事務所らしきものが作られ、それだけです。

 「イランでは自由な選挙が行われている」とイラン政府は様々な広報機関を使って海外に宣伝していますが、確かに、立候補者の誰に投票することも自由です。しかし、自分たちに都合の良い人物しか立候補させないのですから、「あれはエンテハーバート(選挙)じゃなくてエンテサーバート(任命)だよ」と投票に行くことがばかばかしいと感じるイラン人ばかりになるのは仕方のないところです。(関係ありませんが、こういうちょっとした言い回しを聞くと、イランの人たちはこういう言葉遊びがうまいなあと思います。)

 選挙もそうですが、イラン政府のやり方には、先日のチャーバハール行きの中で非常に問題を感じさせてもらいました。

 イランの南東部、オマーン海沿いのパキスタンとの国境にも近いところにチャーバハールという町があります。イランに三つある経済特区の一つで輸入品に関税がかけられていないため、様々な商品が安く買えます。また、オマーン海に面しているため、5〜6月は非常に暑くなりますが、7月からは気温も下がって過ごしやすくなるという穏やかな気候もあって、イラン国内からの観光客もそれなりに多いそうです。

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 (チャーバハールの位置はここ。画面右下、テヘランから最も遠い町の一つ)


 このチャーバハール周辺では、以前にもお話ししましたが、昨年、台風の大きな被害がありました。また、この冬は例年になく雨が多かったために洪水の被害もあちこちであったそうです。
 イラン南東部というのは飲料水の確保が難しいところです。一年を通して流れている川はなく、降った雨ははげ山を駆け下り、低いところへと流れ込み、あっという間に全てを流し去ってしまいます。いつどこにどんな風に水が流れるのか予測が難しいため、ダムや堰を作ることもままなりません。
 現在は、海水の淡水化プラントで作った水をチャーバハールや周辺の村々に配っているのだそうですが、このプラントが非常に古いものなのでしょっちゅう故障しているのだそうです。
 あげくに、先日、「台風やら洪水やらでこちらも予算を使い切ってしまったから、チャーバハール周辺の村への真水の供給をやめるよ。選挙前でそちらも色々大変だと思うけど、まあ、よろしく」という一本のファックスが州政府から送られてきたかと思うと、水が止められてしまったのだそうです。
 水を止められてしまった村の多くはまだ台風や洪水の被害から立ち直れていません。赤新月社から配られたテントやキャパルと呼ばれる小屋を建て、何とか生活している状況です。そこへ持ってきて、水の供給を止めるというのですから大変です。
 そういった村では、農業などに使うために天水を溜める用水池の水を飲用に回しているそうですが、洪水によって下水が混じってしまった水ですから非常に汚染されています。この水が原因となっての病気も報告されてきているそうです。

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 (写真は村の用水池の一つ)

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 (用水地。こんな水を飲むことを余儀なくされている村も多い)


 そういう村々を回り、どうしたものだろうと悩みながらテヘランに戻ってきてみたら、大統領閣下が得意満面でテレビの画面に映っています。そして「イラクに対して10億ドルの融資を初めとする復興支援をする」などと演説をされているではありませんか。「予算がないから」と国民を切り捨てておいて、他国にはそれだけの金が出せるのかと、久々に心の底からの怒りを覚えずにいられませんでした。

 「貧困故に犯罪に手を染める」と言う人が多いようですが、それなら、犯罪に手を染めなくとも生きていけるように何らかの産業振興はできないものかと思わずにいられないのでした。季候は良いし、テヘラン周辺よりも人件費はずっと低く抑えられるし、目の前に港があるので輸出入は問題なしだし、経済特区なので政府からの助成も得られるし、治安も全然問題はないし、イラン国内向けではなくて近隣諸国への輸出ということを考えるなら悪い場所ではないと思うのですが。

 イラン国内という意味では非常に遠いです。テヘランからですと、何と国外であるカタルよりも遠いのです。陸路の移動ですと、24時間以上かかってしまいますし大変なのが難点かもしれません。

 でも、日本企業の一社くらい考えてみてくれないかなあと、特区内に燦然と輝く「TOYOTA」販売店を見上げながら思わずにいられなかったのでした。

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 (村の子どもたち。事態は深刻なのだが明るい色の衣装がなんだかほっとさせてくれる)


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