イランという国で
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イラン映画のこと
2004年 10月 23日 |
 イランの映画監督アッバース・キヤロスタミーが、日本で世界文化賞を受賞したそうです。

 日本を含めた欧米で人気の監督ですが、イランではそれほど人気は高くありません。

 彼だけではなく、国際的に評価の高いイラン映画は実はイラン国内ではそれほどヒットしません。イラン国内でも海外でも評価が高いのは、マジード・マジーディーくらいではないかと思うほどです。

 イランでは映画は娯楽であり、メッセージ性の高い映画はうけません。また、現実にうんざりしているのに、イラン社会の現実をあまりにリアルに描かれてもうんざりするだけということもあるようです。
 海外で受賞した映画はイランでも上映されますが、「あんな退屈な映画がどうしておもしろいんだ?」と逆に聞かれてしまうことがあるほどです。

 例えば、マフマルバーフの「ギャッベ」や「カンダハール」はこちらでは今ひとつ人気がありませんでしたし、娘のサミーラ・マフマルバーフの「ブラックボード」はほとんど客が入らなかったと聞いています。

 うんざりする現実をちょっと違う視点から描けば、また新鮮味があってヒットするのですが、これもさじ加減がなかなか難しいようです。
 日本でもヒットしたそうですが、マジード・マジーディーの「運動靴と赤い金魚」は子供の目を通していることで、靴が買えない貧しさもほのぼのとしたものになるようです。しかし同じ監督の「太陽は僕の瞳(でしたよね?)」はメッセージ性が強かったためか、「きれいな景色だったよね~」というくらいで、イラン人にはあまり受けなかったようです。

 個人的におすすめなイラン映画は、キヤロスタミー監督の初期の三部作、「友達の家はどこ」「そして人生は続く」「オリーブの林を抜けて(だったかな?)」それからマジード・マジーディーの上にあげた二作、それから、イランでは上映禁止のアボルファズル・ジャリーリーの「七本のキャンドル」、監督を忘れてしまいましたが「サイクリスト」などです。これらは日本でもレンタルできるそうですので、もしご興味がありましたらどうぞ。

 私がイラン映画ですごいと思うのは、効果音やBGMをほとんど使わず、自然にある音でその時々の感情を表してしまうところです。単に低予算だからだと言ってしまうとそれまでなのですが、ハリウッド風の仰々しさのない映画作りは素朴で素敵だと思います。




 余計なことなのですけど、ちょっと気になることを。

 イラン映画(だけではありませんが)の邦題の付け方は時々理解に苦しみます。

 「運動靴と~」はイランでは「bachcheye asman」で、直訳すれば天の子供たちで、子供たちが無垢な存在であることを示したかったのでしょうに、どうしてあんな邦題になるのかなあと思ったものでした。「太陽は~」も、現代は「range khoda」で直訳するなら神様の色です。映画祭に出品した時の英語のタイトル「color of paradise」の方がずっとぴったりです。
 タイトルも作品の一部なのですから、あまりに勝手なタイトルを付けてしまうのはどうかなあと思うのです。


 それからもう一つ余計な話を。

 イラン映画が低予算であるというのは本当です。
 マジード・マジーディーくらいの監督なら映画作りにたっぷりと予算があるのかと思えばそんなこともないようです。
 彼は現在、新しい作品の製作中なのですが、フランスのロケができないからということでイラン国内でやりくりしているそうですし、フランス人の役者を雇うことができないので、語学学校に留学中のポーランド人を使って撮影を行っているそうです。


 さらにもう一つ余計な話を

 「ブラックボード」(これは原題をそのまま訳しただけ)は、私もイランで見たのですが、とても不評でした。私は金曜日に見に行ったのですが、休日だというのに、館内に観客は10人もいませんでした。
 そして私もひたすら???でした。
 なぜなら、この映画は全編クルド語で、ペルシア語の字幕がついていたのですが、これが早く移っていくために字幕を追うので精一杯という状況だったからです。


 最近、クルド人の監督が何人か、非常にいい映画を作っているとのことですが、残念ながら私はほとんど見ていません。日本のイラン映画祭などでは上映されているそうですから、機会のある方はぜひ見て下さい。

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by sarasayajp | 2004-10-23 16:30 | いろいろ |
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