イランという国で
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正規軍と革命防衛隊と
2007年 01月 14日 |
 もう何日か前の話になりますが、イランのニュースで「日本に防衛省誕生」というニュースが繰り返し流されていました。
 私の知り合いなどはそのニュースを見て、「日本には今まで軍隊がなかったのか?」と驚いていました。「確か、イラクに軍隊を派遣していなかったっけ?」などと突っ込まれると、説明するのに一苦労です。「日本ではあれは軍隊であって軍隊でなかったのだ」という説明に、「何のこと?」と腑に落ちないという反応をされてしまいます。

 憲法第九条とか、日米安保条約とか、朝鮮戦争の話とか、色々と複雑なんだよ、と説明はしてみますが納得できたようなできないようなあいまいな反応です。無理もありませんが。

 しかし考えてみたら、イランの軍隊も外国人である私の目から見るとなんだか不思議だったりします。
 それはイランには軍隊が二つ存在しているからです。
 一つはいわゆる正規軍(ニールーと呼ばれているもの)で、これが国軍ということになっています。もう一つが革命防衛隊(パースダーラーンと呼ばれているもの)で、内外の反体制派と戦う組織であるということになっていて、それぞれが陸海空軍の三軍を持っているとのこと。軍事費がかさみそうな組織構造です。

 どうして軍隊が二つもあるのかというと、王制の時代にアメリカのバックアップもあって中東一とも言われるほど強力だった正規軍を牽制し、反乱を阻止するために革命後(1979年)、ホメイニー師の命令によって設立されたのが革命防衛隊だからなのだそうです。要するに相互監視をさせるためということです。

 革命防衛隊はその名前の通り、革命政権を内外の敵から守るために存在します。革命直後は正規軍の反乱阻止や反革命ゲリラ組織の鎮圧という役割が大きかったのでしょうが、最近はその心配もほとんどないため、イラクのサドル師の民兵組織や「バドル軍」、アフガニスタンの「モハンマド隊」、レバノンの「ヒズボッラー」への支援といった『防衛』からははみ出ているのではないかと思われる対外支援や、下部組織である「バスィージ(民兵)」を使ってデート中のカップルをこづき回したり、大学内の改革派組織をつぶして回るという反体制分子の摘発を行っています。

 大統領閣下のバックボーンでもあるこの組織、このところ、ここ出身のいわゆる「保守強硬派」がポストを占めるようになりつつあります。そのためか正規軍より妙に存在感があるのですが、いざ実際に戦争が起こったときには正規軍と革命防衛隊のどちらが作戦などの主導権を握るのでしょうか。
 幹部候補生を教育する「軍事大学」を持ち、「正規軍」という名前を持つ正規軍が、戦闘に関する責任を持つのでしょうが、二つの軍隊が一つの国に存在しているというのは私の目から見るとなんだか不思議だったりしますし、大丈夫なのかなあという感じもしたりします。何といっても、横の連絡は絶対にあり得ず、「自分の領域」意識の強い省庁組織を目の当たりにしているため、いざ有事となったりすると責任の押し付け合いや、責任逃れが横行するのでは?という感じがしてしまうのです。

 まあ、私が人の国の軍隊のことを心配することはないのですが。
 それにしても、核を巡ってきな臭い噂が絶えない国に住んでいると、日本の自衛隊論争というのが何とも危機感の薄い議論だという感じがするなあと、防衛省登場のニュースを見ながら改めて感じてしまったのでした。

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 イラン・イラク戦争(イランでは「押しつけられた戦争」と呼ばれる)での戦死者(イランでは「殉教者」と呼ばれる)称揚の壁絵の一つ。こんなものを描かなくても良い平和な世界が理想なのは当然だが、現実はなかなか難しい。ベンチに座るおじさんたちがいつでも好きなだけ世間話に興じていられるよう願わずにいられない。

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