イランという国で
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チューリップ
2006年 09月 05日 |
 マシュハドやイラクのカルバラーへの巡礼中に事故や病気で亡くなったとしても、それは神の道の途中で亡くなったことになるので「殉教者」として扱われます。
 先日のマシュハド空港の事故で亡くなった方も、巡礼のためにマシュハドを訪れる予定だったのなら殉教したことになるので、天国が約束されています。以前、カルバラーで亡くなった人のことについて話しているとき、「残された人たちにとっては悲しい出来事だけど、亡くなった人が天国へ行っているのだと考えれば少しは心が慰められる」と言っているのを耳にしたことがあります。

 イラクと8年にわたる長い消耗戦を行ったイランは、100万人を超える戦死者を出しました。イスラームの正義のために戦ったということで、イランでは戦死者ではなく「殉教者(シャヒード)」と呼ばれるのですが、もちろん、ムスリム以外の戦死者はそう呼ばれることを拒み、「戦死者(ジャーンバーザーン)」として葬られています。
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 テヘランをはじめとする大きな町のあちこちに、ビルやアパートの壁面を使ってホメイニー師やハーメネイー師の肖像画などと一緒に、殉教者たちの肖像画を見ることができます。
 殉教者たちの肖像はカラフルな花によって囲まれていることが多く、何とも言えないミスマッチを感じるのですが、これらの花にもちゃんと意味はあります。
 一番重要な意味を持つのは「赤いチューリップ」です。
 これは殉教者が流した血を表し、殉教を象徴します。そのため、殉教者の墓石にもよくチューリップが彫られています。

 イランのどんな町や村を訪れても、必ず殉教者あるいは戦死者の墓が見られます。
 イランの国旗が立てられていたり、宗教的な旗が立てられていたりしているので、殉教者墓地の場所はすぐに分かります。分かるのですが、思わずのけぞってしまったのが下の写真。
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 チューリップの中の手が持っているのは、「アッラー(=神)」という文字を図案化したもので、イラン国旗にも使われているものです。

 チューリップはイランが原産で、もともとは野原に生えていた小さな赤い花だったそうです。これがトルコにもたらされ、品種改良が行われ、トルコの皇帝たちに愛好されたとのこと。イランではラーレと呼ばれ、女の子の名前にも使われています。
 トルコからヨーロッパへとこれが広がり、トルコ人の帽子=チュルクリップと呼ばれるようになったのが「チューリップ」という名前の語源だとか。

 殉教者の血の象徴であり、イラン古典文学では美しい少年や美女の血色の良い頬を形容するときに用いられることからも、チューリップがもともと赤い色だったということがよく分かるかと思います。タイルなどに使われる文様にもチューリップはデザイン化されて存在します。

 それにしても、何というか、植物の意匠化に関しては優れたものを持つイラン人が、こんなセンスのないものを作ってしまったのかと、ちょっと悲しい気分にもなってしまったのでした。

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by sarasayajp | 2006-09-05 20:14 | いろいろ |
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