イランという国で
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本当のことって何だろう
2006年 06月 02日 |
 イランではこの二週間ほど、各地で騒動が起こっているようです。

 どうして「ようです」なのかというと、私自身がその場を見ていないというのと、イラン国内の報道ではその様子がほとんど確認できないということによります。

 騒動の一つめは、イラン国内でも発行部数の多い朝刊紙「イラン」の金曜版(日本で言うところの日曜版)に掲載された風刺画が、アーザリー・トルコ語使用者たちを侮辱するものだとして、アーザリートルコ語を母語とする人が住人のほとんどを占める東西アゼルバイジャン州、アルダビール州で抗議のデモなどが起こり、それが国会へも波及して、イラン紙の発行停止の措置などを求めるトルコ系代議員が抗議文書を国会に提出するなど、様々な問題を引き起こしたというものです。

 この騒動については不可解な点と、イラン国内の複雑な事情が絡み合っていて、簡単に説明することは難しいのですが、タブリーズで行われていた抗議デモを鎮圧しようとした警察部隊との衝突の中で死者が出たとかでないとかいう噂が流れるくらいの騒動になっているようです。

 実際に死者が出たのかどうかははっきり分かりません。海外の報道によれば5人の死者が出たとのことですが、タブリーズの人に聞くと、デモがあったこと自体を否定する人から死者は出たと言う人まで様々です。死者の数も人によって言うことが違うので確認はできません。デモが散発的に行われていること自体は確かなようなのですが、それ以外のことはテヘランにいると何ともよく分からない、というのが正直なところです。

 報道の統制が厳しい国ですから、国内の報道機関がデモが行われていることを報道しないのは分かるのですが、市民までもが政府を恐れてデモの存在を否定するというのは、警察国家イランの面目躍如というところでしょうか。

 もう一つは、大学教授の退職問題をきっかけに起こったテヘラン大学学生寮での暴動事件です。

 これも、ある大学教授の退職が正当なものかどうかという問題をきっかけに、大きな騒動に発展してしまったというもののようですが、実際にどの程度の暴動で、負傷者や死者が出たのかどうかなどの真相はよく分かりません。
 海外での報道などによると、恐ろしいまでの流血の惨事になったようなのですが、寮に住んでいる学生をつかまえて話を聞いてみると、海外で言われているほどのことはなかったようだというくらいのことしか分かりません。そのくらい、聞く学生によって言うことが違うのです。

 1999年にも学生寮での集会を鎮圧するという名目で警察部隊が学生寮に突入し、死者が出るという騒動が起こりました。この事件も真相は未だに闇の中で、実際にどのくらいの死傷者が出たのかは分かりません。
 そして、この時も私は、学生寮に住む知人などに色々と尋ねたのですが、騒動の規模から死者の数まであまりに異なる回答ばかりでかえって混乱したということを覚えています。

 イラン国内では強力な報道規制を敷いて何もなかったかのようにふるまい、その一方で国内外の体制に非難的な勢力はある事柄をことさら大きく騒ぎ立てることでその権力の失墜をはかり、事件が大きければ大きいほど魅力的に感じる海外の報道機関はろくに事実の確認もせず、あるいは一番大げさな表現をした人の発言を取り上げてセンセーショナルに報ずる。そんなものなのでしょう。
 インターネットの発達によって、私も含めあらゆる人が報道記者になりうる現在、「何が本当のことなのか」を見極めるのはとても難しくなっているのだろうと思います。私がこのブログで書いてきたことは、何度も繰り返してきましたが、あくまで「私の見たイラン」に過ぎず、それ以上でもそれ以下でもありません。ネット上に溢れる情報の多くはそういうものなのだと心に留めて読まないといけないのだと、この二つの事件を通して改めて感じたのでした。


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by sarasayajp | 2006-06-02 14:21 | いろいろ |
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