イランという国で
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プロパガンダ
2005年 09月 15日 |
 これまでにも何度か書いているように、イランはアメリカとイスラエルを敵国としているわけですが、イランの普通の人たちは両国をどう見ているのですか?という質問をいただきました。

 イラン政府が懸命にプロパガンダに努めてはいますが、国民がそれによって洗脳されているかというとそれはちょっと違うような気がします。
 少なくとも、都市部に住む人の多くはアメリカにはイランにはない自由があり、そこへ行けば豊かな生活ができると考えているようです。それを肯定的にとらえるか、自由がありすぎるが故に人が堕落すると否定的にとらえるかには個人差があります。これは日本でも同じようなものではないでしょうか。
 そうしたアメリカの豊かさに憧れる人は多いですが、その一方で世界の警察としてふるまおうとするアメリカ政府のあり方に批判的な人もいることは確かです。こうしたところも日本とさして違わないように思います。

 日本も含めた海外では、集会のたびに「アメリカに死を」「イスラエルに死を」と気勢を上げている様子が報道されていると思いますが、政府主導で、それも多くが動員された人々で行っているそうした行動だけを取り上げて、イラン人全員が反アメリカ、反イスラエルに凝り固まり、テロを支援していると考えるのはおかしなことではないのかと思います。
 もちろん、アメリカやイスラエルを倒すことこそが正義だと考え、そのためには積極的にテロを行うべきであると考えているグループもあります。しかし、宗教や信条のためにテロを行うグループはイラン、あるいはイスラームにだけ存在するのではなく、どんな社会にも存在しています。イスラームの過激グループの行動が目立っていることは否定できませんが、それがムスリム全てだと思われたら迷惑だと思っているムスリムの方が多いことは知ってもらいたいと思います。

 イラン政府は、毎日のようにあらゆるメディアを使って反アメリカ、反イスラエルプロパガンダを行っています。例えば、先頃アメリカを襲ったカトリーナの被害を知らせるニュースなどは、被災地に対するアメリカ政府の対応の遅れを強調し、それはイラクに派兵しているためであると非難する論調が目立ちます。
 また、パレスチナ情勢もイスラエルの悪の所行が毎日のように喧伝されています。
「今日は○○○で無実の子どもが何人射殺されました」
 そんな風に、子どもが殺されていることを取り上げ、国民の同情を誘おうというのでしょう。それも殺されたパレスチナ人の死体の映像をも積極的に示し、その悲惨さを強調します。しかし、パレスチナが同じように無実のユダヤ人の子どもを殺していることはそこでは無視されています。
 この「かわいそうな」パレスチナの民のためにイラン政府は莫大な金額を援助しているとイラン政府は発表していますが、国民の目は醒めています。パレスチナ以前にイラン国内に問題が山積しており、その解決のためにお金を使うことが最優先事項だろうと言う人も多いです。パレスチナを救うため、イスラエルを倒すために、自分たちがどんなに貧しくなっても構わないから援助をすべきだと言う人にはこれまで会ったことがありません。もちろん私が会ったことがないだけでいるのかもしれませんが。
 パレスチナの悲惨な映像だけを繰り返し流しているためでしょうか。イランでは、アメリカに対するよりはイスラエルに対して否定的な人が多いのは確かです。そして、自分たちが優れていると信じたい故に、ヒットラーのアーリア人優性論を崇める人がまだいることも事実で、そのためヒットラーのユダヤ人に対する弾圧を肯定する人もいたりします。しかしそれが多数派ではないことも確かです。

 マスコミが取り上げる一番極端な映像だけを見て、一つの国全体を判断することのおかしさ、危険性を心にとめて欲しいと思いますし、私自身も気をつけなくてはいけないと思う今日この頃です。


 テヘランのプロパガンダ・アート(?)の一部を紹介してみましょう。

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 これは恐らく最も有名なものの一つ。「髑髏星条旗」
 最近はペイントがはげてきていてちょっとみすぼらしくなりつつあるところ。反アメリカに飽きたのかやめようとしているのか、はたまた予算がなくて修繕できないのかは不明。


 イランを歩いていると、建物の壁を利用してこうしたプロパガンダのための絵が見られる。ほとんどはイラン・イラク戦争時に殉教した人たちか、イラン・イスラーム革命に深く関わった人物の絵なのだが、時々、このように、アメリカあるいはイスラエルに関するプロパガンダを意図したものがある。






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 黄金のドームをバックにしたハーメネイー師。
「パレスチナはイスラームのばらばらになった身体の一部である」

 






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 買い物に出かけたところをイスラエル兵に銃撃されたアラブ人親子の図。イスラエルの暴虐のシンボルとして一時期はこの絵が色々なところで見られた。

 正直なところ、絵が下手。









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「エマーム・ホメイニーのウンマ(イスラーム共同体)は、常にパレスチナとその敵たちの傍らにあるだろう」

 テヘラン市内に山ほどある壁絵の中でも最も暑苦しさを感じさせるもの。今は他の絵に変わってしまったので見られない。うっかり写真を取り忘れてしまったのだが、この絵の次は、イスラエル軍によって殺された、ハマスの過激な指導者ヤシンが描かれたものだった。それがまた今度はヤシンがないバージョンに変わっていた。こうした絵の描き換えに政府の意図があるのかどうか興味のあるところ。
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