イランという国で
sarasaya.exblog.jp
  ブログトップ
ムスリムの結婚観
2004年 09月 23日 |
 イスラームにおける結婚観について質問を受けた一昨日の夜から、周囲の女性たちの話を中心に、彼らの結婚観がどんなものであったかもう一度考えてみました。

 ソウル・メイトという考え方があるのか?

 これはほぼ存在しないといって良いのではないかと思います。

 まず啓典に、公平に扱うことができるなら妻を四人まで持っても良い、公平に扱えないのなら奴隷娘だけにしておけ、と書かれているくらいですから。

 結婚については、神が命じたことであり、「結婚しないものは仲間ではない」とされており、人間として生まれたものは必ず結婚しなくてはならないと考えられています。

 イスラーム(特にイスラーム・アラブ)における結婚は契約であり、互いにどれだけ有利な条件で結婚契約を結ぶことができるかが重要であり、また女性は主婦として家政を行うための存在であり、子供を育てる存在です。契約が履行できなければ契約を解消しておしまいという、かなりドライなものであります。
 こうした考え方は、私の周囲の恋愛結婚をした女性たちの中にも見られます。相手の人格よりも、自分にとっていかに有利な条件で結婚するか、そこが重視される傾向がまだ明らかに見られるのです。
 男性は結婚に際して花嫁とその家族にいくらを支払うか、離婚の際には女性にいくら支払うか、全て契約書に書かれます。ここに精神的なものは含まれません。

 極端に言えば、女性は自分の血統を残し、家庭の中を整えるための存在であり、そのために自分に何の文句もつけず仕え、子供を養育してくれれば十分なのです。女性の側としても、自分の生活が保障されることが一番重要と考えます。

 私が研究しているイスラームの倫理について書かれた文献などにはほぼ必ず、「信仰深い貞節な女性を持つ夫は天国にいるようなものである」と書かれています。しかし女性に対して誠実であれとは誰も言いません。妻の生活を保障できないなら結婚するな、とは言いますが、これはあくまで金銭的な意味でしかありません。
 男性にとって女性は自分が庇護し、面倒を見なければならない存在です。倫理書には「女性の信仰を導いてやるように」と書かれていますが、これも、夫が女性に信仰について教えてやることができなければ、女性は他の人に教えを請わなければならなくなり、それが浮気のきっかけになるからだそうです。

 アラブ諸国では、保証があるからということで叔父の娘との結婚が多いそうです。
 私のクラスメートだったモロッコ人男性は、結婚についての話題が出た時に、「結婚については心配していない。国に帰れば自分には叔父が何人もいて、それぞれ娘を持っているから」ときっぱりと言い切りました。
 結婚前にお互いを知る必要もないし、叔父の娘なら彼女の性格や主婦としての能力を叔父が必ず保証するから楽である、ということなのだそうです。それと親族ですと、結婚に必要な婚資金なども低く抑えることができるということもあるようです。
 イランでも親戚同士での結婚はよく見ますが、いとこ同士の結婚は避ける傾向にあります。中央アジアや東欧のムスリムもいとこ同士の結婚はほとんどないそうです。これは親族同士の結婚を繰り返すと、遺伝子的に問題が出ることがあるという知識が普及しているからだそうです。

 イスラームは「商人の宗教」と評されることがありますが、こうした結婚一つを見ても商人的だなあと思うのです。

 イラン人と話していて必ずと言っていいほど彼らが興味を持つのが、日本の結婚制度です。男性からは「メフリーエ(アラビア語ではマフル=婚資金)を払わなくて良いというのは本当か?」女性の側からは「ジャヒーズィーエ(嫁入り道具・持参金)は女性の負担なの?」
 どうやら、こうした義務を負わされない外国人との結婚は楽でいいなあ、と思っている様子です。


 今回は結婚観を中心にお話ししましたが、現在のテヘランなど都市部での結婚についての具体的な話はまた機会を改めてご紹介したいと思います。
[PR]
<< ちょっと考えてしまったこと ページトップ 一つを直して一つを壊す >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Yuzuki Skin by Sun&Moon