イランという国で
sarasaya.exblog.jp
  ブログトップ
子供の名前にも自由化の波
2004年 11月 28日 |
 ここ数日、あまりぱっとしない話しばかりで、煮詰まっているのでは?とご指摘を受けましたが、確かにちょっと煮詰まっています。
 この二三ヶ月、論文を書いているだけでぼ~っと過ごしていたのが、なぜかここに来てばたばたといくつか仕事が舞い込んできたのです。

 バイト料で生活している身なので、もちろんバイトは有難く引き受けます。しかしそれがいくつか重なり、さらには論文の締め切りも目前となるとさすがにちょっと疲れるようです。まあ、滅多にないことですからいいんですけど。ちょっと懐具合が寂しくなってもいましたし、助かります。

 ところで、今回引き受けたバイトの一つが、日本の学術雑誌に載せるという論文の、日本語への翻訳でした。
 それほど難しい内容ではないですし、枚数も多くなかったので気軽に引き受けたのですが、原稿をもらって、テクニカルタームについての注意を受けて翻訳を始めたその夜、執筆者に電話をしていました。

「済みません。この子供たちの名前、全然読めないんですけど」
「あ~そうなんですよね~。お金持ちの子供ばかりだから、変な名前が多いですよね~」

 って、分かっているなら最初に注意してくれればいいのに、というのは内心の声。

 テヘラン北部の高級住宅街の中にある私立小学校の授業についての報告書だったのですが、子供たちの名前が「変」なのです。イスラーム的な名前の子は一人もいなくて、イランの名前の子が少し。あとはどこから持ってきたのかよく分からない名前ばかり。

 パールミーダー、マーラール、ソラーレ、ヘリヤー、ドルサー、サーイナー、ターラー、パーニーズ、アーイサーン、パーンター、メロディー…

 私はこういう名前の女性に今まで会ったことはありませんし、論文執筆者(もちろんイラン人)自ら「変な名前ですよね~」などと言うのですから、きっと伝統的には存在しない名前なのでしょう。

 イランでは、革命以前、ヨーロッパ風の名前を子供に付けることが流行っていました。例えば私も、マリアさんやマーガレットさんという知り合いがいます。あるいは、イラン民族主義的王朝であったことから、英雄叙事詩に登場するような伝統的な名前もよく使われていました。ホスローさんにロスタムさん、ロフサーネさんもいました。
 ところがイスラーム革命後、欧米風の名前を付けることは禁じられ、イスラーム以前の歴史の否定から、イランの伝統的な名前も使われなくなり、イスラーム的な名前を付けることが進められました。モハンマドにアリーにレザー、ファーテメにザフラーなどなど。
 ずっと以前、日本でも、自分の子供に「悪魔」という名前を付けようとして市役所が受理しなかったという話しがありましたが、イランでもそれは同じで、ちょっと風変わりな名前や洋風な名前は全て市役所の窓口で却下されていました。

 私の知り合いで、自分の子供に「ティーナー」という名前を付けようとした人がいました。
 彼女の出身地にいる鳥のその地方での名前なのだそうです。
 ところが、市役所でそんな名前はいかんと却下しました。もっともその人も負けていなくて、何日か前にご紹介したペルシア語の大辞典を市役所に持ち込み、これが西洋風の名前ではなく、鳥の名前だということを証明して認めさせたそうですが。

 もっとも市役所の言うことも時によく分からなくて、男の子に、「アーデル・アリー」(公正なるアリー)という名前を付けようとして却下された方がいました。アーデルもアリーもよく使われる名前ですし、意味としても全く問題がないように思えるのですが「駄目です」の一点張りで、結局、戸籍の登録名を「アリー」だけにせざるをえなかったそうです。

 ともかく、数年前までイスラーム的な名前でなければ認めなかった市役所も、自由化の道を歩み始めたのでしょうか。不思議な名前を持つ小学校1年生たちの名前を見ながらしみじみとしてしまったのでした。
 それにしても、こういう名前をどこから持ってくるのでしょうか。
[PR]
by sarasayajp | 2004-11-28 13:06 | イラン人 |
<< イラン人の名前 ページトップ 敗北? >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Yuzuki Skin by Sun&Moon