イランという国で
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現在と未来
2009年 06月 21日 |
 窓の外から毎晩聞こえてくる声は、増えることはあっても減る様子は見られません。
 声が鳴り響いている間は、机に向かっている気分になれず、なんとなく部屋の中をうろうろとしては掃除をしたりする毎日です。

 デモ隊と体制側との間で衝突が起こり、死者も出ているようですが、日常生活そのものはほぼ平常通り営まれているように見えます。不満を持ってはいても、現状を変える必要がないから関わりたくないと思っている人も多いからなのだろうと感じます。

 テヘラン大学の寮では、再度の襲撃を恐れ、また部屋のドアが破られたり銃痕が残る中で落ち着いて生活できるわけもなく、寮内にあるモスクで集団避難生活を送っているとのことです。大学も、いい加減に、テストの延期をすればいいものを、問題が起こっていることを認めたくないのかあいまいな措置に終始しています。また、イラン国内ではこれまで報道されているテヘラン大学、エスファハーン大学、シーラーズ大学の他にも、ガズヴィーン大学をはじめとするいくつかの大学で改革派学生とバスィージとの間で衝突が起こっているそうです。

 正直なところ、改革派学生が頑張っても、武器と「治安維持」の題目を国から与えられているバスィージには勝てないだろうと思います。軍は大統領によって利権をたっぷりと与えられ、離反する理由を持っていませんし、学生達が担ごうとしているムーサヴィー氏にしても、結局は体制の枠内にいる人ですから、その枠を越えて動くことはないでしょうし。

 もちろん、学生たちの抱える不満はよく分かります。この数年、大学生たちと関わってきて、彼ら自身から常に聞かされています。
 バスィージでなければ、あるいは体制に忠誠を誓っているように見せなくては就職口を見つけられない、あるいは事業を起こすこともむずかしい。賄賂が横行し、真面目に仕事をしようとする人ばかりがバカを見るような状況では、「何が自由・平等だ」と、革命政府のスローガンに反発を覚えるのも無理ないと思います。能力とは関係のないところで出世していく人を見ていたら、嫌になるだろうというのはよく分かります。
 調査などのために地方を回っていると、革命政権の行ってきた事業の一部については一定の評価はするのですが、やはり、30年間に積もり積もった問題も多いと思います。これはイランに限らず、政権の交代が起こらない国で起こりがちな問題なのでしょう。

 長い物に巻かれて生きることの方が楽ですし、疑問を感じながらも家族のためには職を失うわけにはいかないから、という人も多いと思います。これも決してイランに特別なことではないでしょう。
 今回の選挙について、不正があったことを口にする人は存在するのだそうです。だから、不正糾弾のために声をあげているのだと。今のところ、そうした疑惑については取り上げられることはありませんし、恐れやその他様々な思惑から、真相を知る人が積極的に声をあげることもないでしょう。
 手の中にあるものを守ろうとする人たちに、現在と未来のために声をあげた若者たちを中心とする人々の声が届くかどうか、小路に響く声を聞きながら落ち着かない気分になるのでした。

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by sarasayajp | 2009-06-21 12:22 | いろいろ |
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