イランという国で
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ハムシャフリー
2004年 11月 21日 |
 電話が不通になって三日目、昨日(土曜)の夕方になってようやく復旧しました。

 聞けば、私のアパートがある小路とお隣の小路でもかなりの数の電話が不通になっていたそうです。私は気付かなかったのですが、近所の人が、生きている電話を探して隣近所のアパートを訪ね歩いていたそうです。恐らく私のところへは、外人だからということで来なかったのでしょう。

 朝からあちこち歩き回って疲れていた私は、夕方、ちょっと休もうとベッドに潜り込んでいました。うとうとしかかったところへ、インターフォンがけたたましく鳴りました。
 何事かと思ったら、「あんたんところでしょう?電話が壊れているのって?ちょっとしたまで来て」という声が聞こえてきました。
 チャードルを掴み、大慌てで下へ行ったところ、三人の男性が立っています。「じゃ、チェックするから」と、一人がなにやら受話器のような機材を取り出して電話回線のチェックを始めています。そして、もう一人が私に向かって、「このアパートは何回線入っているの?」「全部問題があるの?」と尋問です。「あ~ちょっと待ってください」

 大家さんは警察大学へ行っているので、奥さんを大急ぎで呼び出し、応対をお願いしました。
 チェックに来た三人はどうやらトルコ系の人たちだったらしく、奥さんはすぐにトルコ語に切り替えて話を始めました。そしてなにやら言い合いが始まりました。
 どうやら彼らは「チェックのため」だけに来ていたらしく、修理のためには別な人が来るからということのようでした。しかし奥さんも負けてはいません。「ちょっとその辺をいじれば直るんでしょ?お金は出すから何とかしてよ」「この子はね、木曜から電話がつながらなくて本当に困っていたのよ。仕事で電話が必要なんだから」とお金と人情に訴え、とどめが、「ハムシャフリーでしょ。お願いよ」でした。
 三人は、しょうがないなあという感じで、切れていた回線をつなぎ直し、ビニールテープでぐるぐるに巻くという応急措置をして、奥さんからシーリーニー(覚えてますか?)をもらって帰って行ったのでした。

 「ハムシャフリー」とは、ham=同じ、shahri=町の、という二つの単語の合成語で「同郷の人」といった意味です。テヘラン市役所発行の人気日刊紙のタイトルにもなっています。地縁・血縁を大切にするイラン人にとって、「ハムシャフリー」であることは大きな意味を持っています。ここで奥さんが言ったハムシャフリーとは、「同じイラン人でしょ」ではなくて、「同じトルコ人でしょ」だったはずです。あるいはもしかすると、同じ地方出身だったのかもしれません。アーザリー・トルコ語は地方によってかなり方言があるそうで、言葉を聞けば出身地が分かるそうですから。

 私は現在、イランという国に住んでいます。そしてここには数百人の日本人が滞在しているそうです。私はこの「ハムシャフリー」とハムシャフリーだというだけで親しくする気にならないことも多いのですが、海外に住むイラン人の多くは、「ハムシャフリー」と非常に緊密なネットワークを作って生活しています。
 イラン人はかなり保守的なところがある割に、海外への移住に比較的抵抗感がないように思います。家族とハムシャフリーがいればそれでよし、何とかやっていけるさ。
 イラン人を見ているとなんだかそんな感じがするのです。


 少し話がずれますが、アフガニスタンのハザラ族や、中央アジアのトルキャマン(トルクメン)系の人たちは、日本人と顔がよく似ています。町を歩いていてこれらの人たちと会うと、なぜかお互いに、「おお!ハムシャフリー」という気持ちになって見つめ合ったりしてしまいます。日本人や中国人、韓国人に会ってもあまりそういう気分にならないのに、何とも不思議な感じです。


 ちなみに、三人の工事人と奥さんのトルコ語での会話の部分は、実は半分くらいしか分からなかったのですが、内容には間違いはないはずです。こういう会話はなぜか分かるんですよね。
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by sarasayajp | 2004-11-21 02:50 | イラン人 |
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